「はい、じゃあそこにいる男子2人は生徒会室から発注した木材の受け取り。真咲たち3人は渡り廊下でこないだの新聞貼りの続きしておいて。あとせんちゃんと幸村はそこにある背景のペンキ塗りね。廊下はビニールシート必ず敷いてね。」

みんな各々返事をして、言われた通りの持ち場へ向かった。今の私の発言でお分かりの通り、私の所属するスタッフは、力仕事の大道具!しかも、私はなんとチーフなのだよ!ちなみに言うと、幸村のスタッフも大道具になった。このスタッフは人手が多い方が助かるし、ね。大会や学園祭の準備で、夏休みなんて結局はあってないようなものだけど、学校に縛られないこの感じは、やっぱり最高!


「残りは私と一緒に渡り廊下で大道具作るよ!それぞれ道具持ってきてね!」


カンカンと乾いた音が空に響く。金槌で釘を打つ音だ。渡りは教室と違って暑いから、みんな首からタオルをかけて汗だくになってやってる。各言う私もその一人。だけど私は唯一男子に交じってのこぎり組の女子なのです。


「松山ー、これ余ったんだけど。」
「なんだと、そんなことはあり得ません。絶対なんか間違えて作ったな。」
「え、そんなはずは…。」
「あ、吉田。それお前のとこのじゃなくて、俺の。」
「こら、吉田ーッ!」
「ひいぃ、ごめんすまなかったって!」
「教室の余った木材から適当に選んで同じ下書きしてきなっさい!」
「はいぃっ!!」


「はは、侑紀たのしそー」
「真咲ちゃんも、新聞貼り楽しそうだね。」
「うん、たのしーよ!えっこちゃんとこ貼り方すごくきれいだね。」
「ホントだ、性格でるね。あ、真咲んとこカラー見えてんだけど。」
「えー、剥がさなきゃじゃん。…んー?さきりんとこは…、げっ、ちょ−汚いっ!」
「っ、言ったな真咲ぃ〜!」


「はい、幸村くん。この茶色まだ使えるから。」
「ありがとう。」
「へええ、やっぱ上手いわ〜。さすが!」
「いや、そんなことはないよ。仙谷さんも美術実行入ってるんだろう?色のセンスがとてもいいよね。うらやましいな。」
「いや、実行は人手が足りんかったから手伝ってるだけだかんね。…あーそうか、幸村くんの絵って、いっつも廊下に貼ってあったもんね。侑紀もいい分担考えたわー。」
「いや、侑紀は絶対そんなこと知らずに適当に俺を突っ込んだと思うよ。」
「へ、幸村くんと侑紀って仲良しさん違うの?」
「フフ、そう見えるかい?なら嬉しいな。」




「あー暑い、もー疲れた!」

んーっと空に向かって思い切り伸びをする。ずっと同じ体勢でいたから体が痛い。でも、大分いいとこまで行ったなあ。今日の目標達成率はみんないい感じだ。

「松山、休憩ほしい、きゅーけい!」
「おだまり吉田!」

吉田がわんわん喚いた。結局あんたは失敗した部分の作り直ししてただけでほとんど働いていないじゃないか。

「俺、そろそろ疲れたんだけど松山…。」
「よし。じゃあ休憩にしよっか。」
「っておい、なんで藤崎はよくて俺はダメなんだよ!?」
「真咲ー!きゅーけい!!」
「ラジャー!!」
「聞けよ!」

吉田がわんわん喚いてるけど、無視。無視。無視!さあ冷房の効いた涼しい教室へ戻ろう!





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