放課後、教室で居残って勉強していたら案の定全くはかどらなかった。授業も半分聞いてないことがほとんどだったから自分じゃなんにもわからない。あたりまえだけど。もうこのままじゃどうしようもないので、ヒロシの所に質問へ行ったら、委員会があるのですみませんと断られてしまった。先生に聞きに行くには、あまりに基本事項過ぎて、授業聞いてませんでした候な感じが拭えきれなくて恥ずかしい。というわけで、白羽の矢が立ったのが学年トップと名高い蓮二だったわけだが、運がいいことに廊下でばったり出くわした。


「やー蓮二、ちょうどいいところに」
「どうかしたか、侑紀。」
「あの、ここ教えて欲しいんだけど…」
「悪いな、これから生徒会なんだ。」


あ、そっか。委員会と生徒会の委員長会議なんだ。あーあーどうしよう。他に頼れる人…、ブン太、ないない。絶対ない。ジャッカル?でもこれ数学だもんなー


「…数学、か。ならば精市に聞けばいいだろう?」
「へっ!?無理、無理無理無理!!だって私、幸村に宣戦布告しちゃったし!」


今一番聞きたくない名前が蓮二の口から飛び出して3歩ほど後ずさりをした。何を隠そう私はあの後、幸村に「あんたなんかにぜえええっったい頼ったりなんかしないから!!」と大声でタイマンを張ってしまったのだ。しかも、教室のど真ん中で。つまりクラスメートは私が大声で叫んだ内容をみな重々承知なわけで、そんななか「幸村くーん、やっぱ無理だったよー☆」なんて可愛く言えるわけがないでしょうが。空気読んでよ、蓮二。


「だろうな。お前のことならしかねない。」


初めからわかっていたならそんな発言しないでください。もちろん、一番後悔しているのは私です。


「だが、このままでは危ないのだろう。追試が通らなければ高校への推薦は取り消しだと聞いているが。」


そう、幸村の言っていた通り追試は全国大会とどんぴしゃで被っている。つまり、落としたらそこでアウト。一発勝負だ。一貫校の強みはなんといっても高校受験がないことなのに、というかそれ目的で小学校のころから頑張ってきたのに推薦取り消しだなんて、あんまりじゃないか。先生ひどいよ。


「…ですが、幸村くんに聞くのはどーも…。他の有望株はいないものでしょうか?」
「お前が思っているほど、精市も意地の悪い奴ではないさ。」


そういってすれ違いざまに私の髪をくしゃりと撫でがんばるんだなとひとこと言い残し、蓮二は生徒会室へ消えていった。





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