log | ナノ





私の好きなケーキをトレーに乗せ、目指すは愛しき君が待つ私の部屋。真田がケーキを食べるなんて、想像しただけで死んでしまいそう。だって、フォークでケーキを口に運ぶ君、ああ可愛すぎ。


手がふさがっているので足でドアを軽くつつけば、中から真田が開けてくれた。トレーに乗ったケーキを見て、美味そうだな、とつぶやく真田。その優しい笑顔はケーキと同じくらい甘い。最高にときめいただなんて、言えないや。



トレーからケーキとコーヒーをテーブルに移すと、果物がかわいらしく彩るケーキは心なしかいつもより甘そうに見えた。真田は甘いものだけじゃつらいかなと思って入れてきたコーヒーの香りが部屋中に広がる。このくんと鼻腔をかすめる香りが好き。落ち着く。

二人向かい合って腰を下ろすと、ふむ、いただこうなんて律儀に手を合わせる真田が本当に愛おしい。さあ早くケーキをつついて、頬張るあなたがみたいな、なんて。


「コーヒーの砂糖はこれを使えばいいか?」


自分は使わないが一応持ってきたピンクとグリーンのスティックシュガー。真田は数本手に取ると、違いがあるのかと見比べている。早くケーキを食べる真田が見たかったのに、コーヒーからか…なんて勝手にがっかりしてしまったけど、そんな様子が可愛らしくて思わず笑みが零れた。にしても真田、コーヒーに砂糖入れるんだね。知らなかったや。


「そうだよ。ちなみにどっちも同じ砂糖だから。」

「そうか、ありがとう。」


そう言って真田はスティックシュガーを開けると、白くてきらきらした細かい粒子がさらさらと零れてコーヒーの中に落ちていった。くるくるとスプーンでコーヒーをかき混ぜる真田を見ながら、私も一口。



「名前」


「ん、なあに?」



顔を見上げると、そこには少し怪訝そうな、驚きを宿した顔をした真田。あれ、私何かしたかな…。


「コーヒー、ブラックなのか?」


「へ?……う、うん。それがどうかした?」



甘いのと苦いのが混ざり合ったあの奇妙な味がどうも苦手で、私はコーヒーはいつもブラックと決めていた。あれ、真田知らなかったのかなと思ったけど、そういえば私も真田がコーヒーに砂糖を入れるのを知らなかったのを思い出す。



「いや、別に、何でもない。」



そう言って目をそらすと、顔を落としコーヒーに手をかける真田。…ふふっ、もしやこれは…。しめたぞ。こうなったら私はもう止まらない。止められない。


「ふふふ…さては真田クン、ブラック飲めない口でしょう!」


にやり怪しげな笑みを浮かべてからかえば、真田は飲みかけたコーヒーを吹き出した。思っていた以上に動揺する彼をみて、私の心はガッツポーズ。いいぞ、いいぞ!


「っ……ごほっごほ!な、そんなことあるか!たったるんどるっ!」


「へへー、ふふふー」


真田は相当動揺しているらしく、たるんどるっ!の最後の方で声をひっくり返した。やばい、かわいい。















(な、なんだその顔はっ!名前、たるんどるぞ!)
(残念ながら私の顔はまだぴっちぴちでたるんでなんかおりませーん!)





気づいたらいつもにましてギャグ風味になってました。あれ?
(20101031)


第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -