log | ナノ





最近悩み事がひとつ、ふえました。気のせいかもしれない、でも、確かに感じる。休み時間になると斜め前の席の、幸村くんからの視線を。どうしてだろう、彼は性格もよくて美人で運動も勉強も芸術的な分野もなんなとこなしてしまう。一方の私は凡人を絵に描いたような凡人。並みの並だってことは自分でも自覚してる。得意なことだって特にない。そんな私が幸村くんこ目をかけてもらうなんてことはありえない。第一話したこともないし、クラスが一緒でも関わりも薄く終わっていく人がいるように私もきっとその一人に含まれているはず。でも視線を感じる、なんて、勘違いだったら相当恥ずかしい。そう思って確認したくても顔を上げれない。だってもし気のせいで、幸村君を見つめた瞳を彼が捕らえたら?微笑まれるかもしれない。きっと幸村君は微笑んでくれるだろうけど。逆に本当に私のことを見てたら?え、どーするの!?わ、わかんないけど、でもわざわざ机に向き合うんじゃなくて、横向きに座って後ろを見るようなその姿勢はなんなんだろう・・・。あ、私の後ろに幸村君のお友達が!・・・って私は一番後ろの席だよ、誰もいなかったよ。外の景色を見るには、窓は私の方にはないよ、幸村くん。一体どこを見ているの?あー無駄に緊張するなぁ・・・。





改めて意識してしまうともしかして、私顔に何かついてるのかとか、制服がおかしなことになっているのかとかいろいろ考えをめぐらせてしまう。不安になって顔に手を当てて確かめたり、制服の裾なんかを調べてみるけど、おかしなところは別にないと思う。じゃあ、一体どうして?あーどうしよう・・・。ひょっとしたら、私にそっくりな親戚や友達がいるのかもしれない。うん、そういう人っているよね。私もついつい見ちゃうもん。




あともう少しで休み時間も終わる。あと少し、このもやもやした気分に耐えればいいだけ。きっと幸村くんは後ろを向いて座るのが好きなんだ。そうなんだ、きっと。



でもどうしてか不思議なことに、ほんのちょっとした切欠でもこういうことって相手を意識してしまいそうになる。いままで全く気に留めたことがなかった人でも。たとえあっちがそんなつもりなくても、私一人でどきどきしてしまう。ねぇ、幸村くん。いま私あなたに振り回されてる、なんていったらあなたは笑うかな。




「ねえ、名字さん」



ふわっと声が降ってきたかと思えば、さっきまでそこに座っていた幸村くんが私の前に立っていた。どっくんと1回大きく鼓動を打った私の心臓。そのおかげで我に返る。相当考え込んでいたよう。でも心臓は1回だけじゃ仕事をやめてくれなくて、体全体に何度も鼓動を轟かす。やめてくれ、お願いだから。












(どうしようどきどきどき)







(20101013)

Thanks 深宙


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -