バチンと音を立て視線が重なって、思わず目を見開いた。何だって私のことを噂されなきゃいけないんだろうか。








act.6

(明日、天気にしておくれ)







振り向けばそこには3人の先輩方。敵意剥き出しな視線に無意識に目を逸らしてしまった。この時点でもう私負けてるなあ…。ずん、ずんと一歩ずつ近づいてくる姿に、怖い、とただ恐怖だけを感じる。女ってこんな生き物だっけ…?先輩は私の前で立ち止まると口を開いた。



「アンタ、マネージャーやってるってホント?」


棘のある言い方。いきなりそれはないんじゃない?それに、手にはタオルがいっぱい入った籠。見ればわかるでしょ!?って、…だめだ、自分。相手を煽っちゃだめ。冷静に振る舞わなきゃ。じゃないといろいろややこしくなるんだから…。



「そ、そうですけど…。」「どうして!」



自分なりに当たり障りなく答えたつもりだったが、間髪入れずに怒鳴られて怯んでしまった。いや、怯んでしまった本当の理由は、先輩があまりにも必死な顔をしていたから。泣きそうなくらい必死な顔をしていたから。



「私たちはいくら頼んでもやらせてもらえなかったのに…!どうしてアンタなんかが!」



(えっ…?)


幸村部長は有無を言わせず私をマネージャーにしてしまったから、てっきりマネージャー志望の子はいないんだとばかり思ってた。けどこんなにたくさんのファンがいるのに、マネージャー志望の子がいないはずないよね…。じゃあ、それじゃあ何で私なんかが…。疑問がぐるぐる渦を巻いたけど今はそんなこと考えてる余裕なんてなかった。



「それにっ!マネージャーの立場を利用して赤也くんに近づくなんて…!」




ヒステリックな甲高い声が耳にキンキンとこだまする。あ…うん。それはちょっと勘違いなんだけど…。そーよ!そーよ!と後ろの先輩方。いや、私まだマネージャーの立場利用できるほど、マネージャーやってないんですけど。


「ねぇ、由香里。やるなら場所変えたほうがいいと思うんだけど。」
「・・・そうね、変えよう。こんなとこでやることじゃないか。」


一人が、由香里と呼ばれた先輩に静止をかけた。すると由香里先輩ははっと我に帰って冷静さを取り戻す。ああ、もう、本当にやばい。私このまま連れて行かれたら絶対リンチされる・・・。怖い。ああ、どうしよう。一人は私の口にハンカチを当てて声を出せないように、そしてもう一人は私の持っていた洗濯かごをひったくり腕を拘束。そのまま投げ捨てるものだから、洗濯物が地面に散乱。せっかく洗ったのに・・・。由香里先輩は何もしない。そのまま前をすたすたと歩いていった。




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