テニス部マネージャーになって早いもので二週間が経った。仕事にも大分慣れてきて、わりと楽しく毎日やってる。ドリンクづくりに洗濯、玉拾いに掃除、予備ラケットのガットの点検や古くなったボールの入れ替えをしたり、スコアを書いたり、部員達のコンディションの確認などなど…確かに経験者だからこそ配慮できる部分が多くて、結構楽しい。



「お、僚!タオル一枚もらえるか?」

乾かしたタオルを籠に入れて部室へ運んでいると、後ろから声をかけられた。太陽の下、汗と白い歯をキラキラさせてやってきたのは、部内一爽やかなジャッカル先輩。


「あ、ジャッカル先輩。どうぞ!お疲れ様でーす。」


タオルを手渡すと、いつもサンキューな、とまた一層爽やかな笑顔で返してくれる。タオルで頭全体をごしごし、楽そうでいいなあ……。


「僚は仕事覚えるの早いなー。テニス部にはもう馴れたか?」
「あ、はい。先輩達の顔もやっとわかるようになりました。あ、ジャッカル先輩。さっきのスマッシュすごくよかったですよ!」
「おー!なら、俺のボレーもすごかったろぃ?」


ぴょいと後ろから現れたのは、さっきジャッカル先輩とダブルスを組んでいた丸井先輩。この二人のダブルスは本当にすごい。

「あはは、天才的でした!はい、丸井先輩もどーぞ。」
「サンキュ!」

丸井先輩の口癖の「天才的」という言葉を使って返せば、お前も俺達の扱いに大分慣れてきたよなと先輩達がくすくす笑う。テニス部の人達はいい人たちが多くて、もともと内気の方に分類される私でも、そう時間をかけずに打ち解けることができた。これも先輩達が気さくに話しかけてくれるお陰で、本当に感謝だ。みんなが私に早く馴染めるよう気遣ってくれてるのがわかるから、尚さら嬉しい。


そしてそんな中、彼らと接していて気づいたことが一つ。




「きゃあああ!かっこいい!!」
「決めちゃえ真田くーん!」
「仁王くんやばーい!やっぱイケメン!」
「頑張ってー!幸村くぅーん!」


飛び交う黄色い歓声。きゃいきゃいはしゃぐ女の子達。そう、テニス部の人達(主にレギュラー)にはとてつもないファンクラブが存在していた。敢えてテニスコートを避けていた私は、この状況を目の当たりにして驚いた、なんてもんじゃない。だって、テニスの試合がアイドルのコンサート化するなんて!調子の出てないサーブにナイスサーブなんて言われても嬉しくないのに、そんなことあの人達はお構いなしなんだ。


「わあ!赤也くんナイス!」


聞き慣れた名前を耳にして、ふと顔を向ければ見たことのない女の人。きっと先輩だろう。赤也にまでファンがいるなんて知らなかったな。





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