今日は珍しく僚とケンカした。


僚は俺の幼なじみで、小さな頃からよく一緒にテニスをしてた。昔からアイツは面倒見がよくて、試合に負けた俺をいつも慰めてくれた。次は勝てるよ、赤也は強いから、って。今思えば俺ってなんて単純だったんだろうって感じだけど、あのときは純粋に嬉しかったんだ。俺がテニスを好きになれたのはそれのせいもあるのかもしれない。



僚とケンカしたって言っても俺がアイツの気に障るようなことを言っちまっただけだけど、詳しい原因がいまいちよくわかんねぇ。一応謝っといたけど、なんなんだよ、テニスやめたって。意味分かんねぇ。



俺がそんことでモヤモヤ考え事してると幸村部長が俺のことを呼んだ。やべぇ怒られるかも、なんて思いながら近づいていけば、そこにいたのは僚。なんでいんだよ。俺としては気まずいんだけど。



話を聞けば僚はわざわざさっきのことを俺に謝りにきたらしい。なんだ、怒ってるわけじゃねぇんじゃん。よかった。



またテニスしような、って誘ってはみたけど、やっぱ僚の顔は晴れてない、気がする。それでも、たとえ嘘でも、アイツがその約束を肯定してくれたことが、俺は嬉しかった。昔に戻れるんじゃないかって。また、アイツとテニスできるんじゃないかって。


俺は僚がテニスしてるとこが好きだ。楽しそうで。きらきらしてて。だから、やめたなんて軽く言うなよ。






1日分の練習メニューを終えると、幸村部長が部活の終礼をする。いつものことだ。でも、今日だけは違った。




(……僚!?)



目の前にいたのはさっき別れを告げた僚。なにやってんだ、アイツ。幸村部長だって遅くまで待たせるのは悪いって言ってたじゃないっすか。なにやってるんすか、一体。





「…今日からテニス部のマネージャーになりました。1年、榎田僚です。」




開いた口がふさがらないとはまさにこのことだ。なにやってんだよ、僚。マネージャーとか嘘だろ。


さらに柳先輩が本当に余計なこと言うから(苗字なんて被ったってどうでもよくね)、テニス部全員、僚のことを名前で呼ぶことになった。あーあ、クラスでも俺だけだったのに。なんかイラつく。









「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -