■ ■ ■


永遠に感じた。
柔らかな熱がくちびるを染めて、ただ甘美な愛を注がれるだけ。

それだけの行為が、ただひたすらいとおしかった。

唖然とするわたしの前には、先程わたしの唇を奪ったひとが柔らかく微笑んでいる。端正な顔を綺麗に歪ませて、わたしへの言葉を紡いだ。
「いきなりすぎたかな。少し照れるね、こういうのは」
「…いきなりにもほどがあるでしょ、!?」
「でも嫌じゃなかっただろう?」
それは、と口ごもる。それを聞くのはずるい。
わたしは彼が好きなんだから、口付けをされて嫌がるはずがない。
愛おしさを溶かしたような彼は、きっとそれをすべてわかっている。
もおう、ほんとうに、むかつくほどきれいな顔をしているなあ。

「・・・まるで、白馬に乗った王子様ね。」
「それじゃあ、きみはお姫様だ」
「お姫様って柄じゃないけれど・・・、そうね、それもいいかもしれない」
「じゃあ、お手をどうぞ、お姫様」
「あら、うれしいわ。王子様。」
それが可笑しくって、ふたりで笑い合う。ふたりしかいない空間に、笑い声が沈む。

すこしだけ、すこしだけ物足りないような気がして、わたしから熱をうつす。
あつくて融けてしまいそうになるけれど、そんな感覚もわるく無かった。


砂糖の融解温度

その双眼ですら、わたしを融かしてしまうのに。

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