学生の場合2 藍河 千秋……高校生 蘭 弥琴……高校生 「ああ、分ったよ。君の方で好きにやって構わないから。それじゃあ」 千秋は通話を終えると、携帯を制服のズボンのポケットへとしまった。振り返り、一歩後ろで会話が終わるのを待つ弥琴の方を向く。 「待たせたね」 「いえ、そんな事ないです。ですが今の電話は何方からですか?」 「あの情報屋からだよ」 情報屋。何かと規制の厳しいこの街で、その職業に当てはまる人物は一人しかいない。弥琴はすぐに該当する人物を思い浮かべるが、あまり良い表情はしなかった。眉間にしわを寄せ、怪訝そうな顔で尋ねる。 「なんでまた片岡さんから。彼は報酬の良い神郡ばかりに手を貸してこちら側に協力するという事は殆どないじゃないですか」 「今回は事情が違うみたいだ。神郡じゃなくこちらに連絡してくると言ったらどんな用件か想像出来るよね」 「”処分”ですか?」 「いや。こちらに害はなさそうだから”見送り”と言う事にしておいたよ」 これは俺の偏見だけど、千秋はそう呟いて歩き始めた。それを追って弥琴も足を動かした。だが彼の言う偏見とは一体何なのかと胸につかえ、すぐに立ち止まる。 「つかぬ事をお聞きしますが……偏見とは?」 「本当に個人的な理由だよ」 「間接的にでも俺と同じくらいの女の子を殺すのは嫌だからね」 ≪ ≫ [戻る] |