記者の場合


杉野 基……記者
細 明無……上司
一月 帝……殺人鬼


 人の個性は自由だ。それをどう表すかも個人の自由。だがしかし、ソイツの個性は都会でもないこの街では一際輝いていた。
 ソイツの髪はピンク一色。どれほど脱色をしたかはしらないが、原色の様な綺麗な桃色だ。それと、バンドマンなのかギターケースを背負っている。
 生憎俺はそいつに話しかけられた。挨拶くらいしろよな。多分お前より年上だぞ。

 一月小町? 聞いた事ないね。妹だって? お前みたいに目立つのか?

 悪いが俺は力になれないみたいだ。他を当たってくれ。
 そう言えば御那里区に行けばそう言うのに詳しい奴がいるらしい。あ? ああ、どういたしまして。一月帝な、覚えておくよ。じゃあな。

 信号機の前で細さんが俺を呼んでいる。何故か今日の彼女は機嫌が悪い。先ほどの電話で姉と何かあったのだろうか。
 まあ、何があろうと俺は今日もパシリに使われるのだろう。彼女にはもっと人権を尊重して欲しい。切に願うよ。
 細さんは人使いの荒さのせいで、折角の容姿を無駄にしている。これで仕事をまともにしていたらきっとモテていたのに。主に俺から。

 学生は良いよな。勉強してるだけで良いんだ。ほら、そこら歩いてる学生なんかいかにも気楽そうで――……。


 


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