大好きな君へ告ぐ | ナノ

大好きな君へ告ぐ


*青黄が三十代に差し掛かったようです
*基本青峰くん視点
*短い
*高校青黄の日おめでとぉぉぉぉおおおおおおおおおう\(^o^)/!!!!!!
*80000 HIT THANKS !


 桜も淡いピンクの花びらを散らせ、葉桜の緑へと姿を替えた五月のGW明け。
 ここのところ安定している気候のおかげで春の穏やかな日差しが眠気を誘う、五月七日。
 高校二年のこの日、玉砕覚悟で臨んだ告白に思わぬ返事が返って来て目をこれでもかと言うほど丸めたのは今でも鮮明に覚えている。
 それを見た黄色が、楽しそうに笑い転げたことも。
 今日は、そんな恋人――黄瀬涼太と付き合い始めて十五年目の記念日。
 こう言った行事は毎度毎度欠かすことなく盛大に祝ってきた(事情を知っている周りにそれを言ったら“無精の青峰(青ちん)(青峰くん)(大ちゃん)が!?”と驚かれた。相変わらず失礼な奴らだ)のだけれど、今日の記念日はいつもと少しばかり様子が違った。
 二人で仕事休みを揃え、共に暮らし始めて五年になる2LDKのマンションで何処に出かけるわけでもなくまったりとコーヒーを飲みながら穏やかな時を過ごす。
 何か口裏を合わせてそうした訳ではなく長年の暗黙の了解とでもいうか。兎に角、今日はいつもと変わらず穏やかに記念日を迎えたいのだと、黄瀬と意見が合った事は確かだろう。
毎回何かしらのサプライズを行ってきた自分たちにとっては、こんな記念日の過ごし方は初めてで新鮮なものだった。けれど、二人の間に流れるこの穏やかな空気が愛おしい。

「こうやって、二人でゆっくりするのも久しぶりっスね」

 そう口を開いた黄瀬も嬉しそうに緩々のだらしない表情を覗かせるのだから、たまにはこう言う過ごし方も悪くない。

「そうだな。 最近はお前も俺も仕事仕事で忙しかったし、休みでもお前と被らなかったし」

 ちなみに、黄瀬と休みが合ったのは実に二ヶ月ぶりの事だ。お互い会社で重役を担うようになってからというもの、休みを合わせるのはかなり難しいものになっていたのである。
 俺が休みの時は黄瀬が仕事で、黄瀬が休みの時は俺が仕事。お互いに顔を合わせるのは起床して出社する前までと、帰宅して就寝するまでの短い時間だけだった。
 十代から二十代前半に掛けては二週間程会えないだけで一大事であり、よくすれ違ったし喧嘩もした。けれど、別れるという選択肢が二人の間になかったのだけは明確で、周りも呆れて自分たちを“喧嘩っプル”と呼んでいたのを知っている。
 それが年を重ねるにつれて落ち着いてきて、取っ組み合うような派手な喧嘩もしなくなったし、お互いの時間を大切にするようにもなった。
 この間久しぶりに会った中学時代の相棒、テツはそんな俺らの成長ぶりに「身体を動かすしか取り柄のない猿と無駄にシャラシャラしている駄犬が互いを尊重し合える日が来るなんて……!」と感嘆の声を上げていた。人をなんだと思ってるんだ、あいつは。

「そうっスねー、実に二ヶ月ぶりのまったりdayっスよ! 青峰っちとも、一日中一緒に居られるし、もう最高っスわ」

 猫舌の黄瀬はふーふーとコーヒーを息で覚ました後、ずずずっと音を立てながら口内にそれを流し込む。お茶じゃねぇんだからと以前ツッコミを入れたけれど、それに関しては総スルーされた。
 一緒に居られて最高だと黄瀬は言ったけれどそれは此方の台詞というもので、この休日を含め、黄瀬と過ごした時は全てが最高で、俺の宝だ。おい、そこ。誰峰とか言うんじゃねぇぞ。柄じゃねぇのは分かってるけど、それは常々思っていたことだった。黄瀬にボールをぶつけた中学二年の頃から、ずっとずっと。
 異例のスピードで一軍昇格を決め、俺の元へと1on1を申し込みに来た日、荒んだ俺を引き上げるために“憧れ”を捨てると黄瀬が宣言した日、高校二年で一世一代の告白をした日、一緒の大学に進学したのを良い事に勉強もそっちのけでバスケと色欲漬けだった日々、大学卒業を機に別々の道を歩むことになり、疎遠とすれ違いを繰り返した日々、黄瀬が二十七回目の誕生日を迎え、同棲を申し込んだ日。
 ずらずらと並べて良いのならばもっと言えるけれど、そこは割愛。
 黄瀬との想い出全てが、俺の中で大切な宝なのだ。

「最高なのは俺も同じだバーカ。 ずっと連れ添ってる奴と十五年目も一緒にカウント出来るし、何より、俺の前でそいつが笑ってんだから、幸せじゃねぇ方が可笑しいわ」

 思っている事を素直に伝えたほうが良いと学ぶことが出来たのも、十中八九黄瀬のおかげ。こいつになら自分の気持ちを曝け出したいと思うのだから俺も相当コイツに入れ込んでる。
 黄瀬は歳をとって少しばかり寄り始めた目尻の皺をより深くしながら極上の笑みを浮かべ、頬を朱色に染めた。

「……青峰っちの口からそんな言葉聞けるなんて、夢みたいっスね……。 やっぱり十五年の月日って人を変えるだけの力を持ってるんスか?」

「おいこら、そこは素直に喜んどけよ!」

「ははっ、ごめんごめん。 嘘、すっごい嬉しいっスよ、青峰っち……いや、大輝」

 甘い、髄まで溶かしてしまうような黄瀬の声が俺の名を呼んで、熟れた熱い眼差しが俺を射抜く。
 不意打ちは卑怯だと自分の口に手を当てながら思う。黄瀬には「真っ赤っスよ、だぁーいき」と語尾にハートでもつくんじゃないかという口調でからかわれた。

「……、馬鹿涼太。 でも、そんなお前だからずっと一緒に居たいと思うのかもな。 ……十五年記念、おめでとさん。 これからもよろしく頼むぜ、涼太」

 座っていたソファーから腰を上げ、向かいでチェアに座りながら同じようにコーヒーを飲んでいた黄瀬に近づく。
 テーブルにコトリ、と音を立てながらコーヒー入りのマグカップを置いて、真っ赤な顔で此方を見つめる黄瀬の近くに寄り、その唇に噛み付くようなキスを落とす。
 くちゅり、と絡まる舌先はこのゲロ甘な空気と反比例して、先程まで口にしていたブラックコーヒーの苦さが際立ったが、それでも今までに交わしたキスのどれよりも、最高に甘かった。



「大好きな君へ告ぐ」
(( こちらこそ、よろしくね ))











ままま、間に合ったぁー((((;゚Д゚))))!!!!
どうしても本日中に上げたかった作品でした(笑)
青黄は十、二十代こそ喧嘩っぷるだけど、それを過ぎたらゲロ甘且つ穏やかな時間を過ごせる大人の恋人同士になってれば良いと思うよ!という妄想の元生まれた作品でしたが、私が書くとゲロ甘どころか甘にもならないマジック←
とととにかく! 2013年、高校青黄の日おめでとーう\(^o^)/
末永く爆発してください///

ついでと言ってはなんですが、80000 HITも有難うございました///
まさか青黄の日と被ることが出来るなんて……ッ!
幸せすぎて萌禿げそうです(笑)
これからもサイトの方、よろしくお願いしますね(*´∀`*)



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