目覚めたら聞かせて | ナノ

目覚めたら聞かせて



※日→←月気味な大学パロ



「ひゅ、う、があー!」

「何だよ、伊月」

「呼んでみたー、だけっ」

「…………」

何回目だろうか、この『呼んでみたー、だけっ』という伊月の台詞は
ぐでんぐでんに酔っている伊月は飽きもせず俺の名を呼ぶ

「なあ、伊月」

「なーにー?」

「呼んでみただけだよー、ダァーホー」

「あははははー、日向おもしろーい」


急に入ったバイトから伊月とルームシェアしている部屋に帰ったらこれだ

空のビール缶が4、5本転がっている
酒なんて得意じゃないくせに

辛うじて残っていたビールを飲みながら伊月の相手をする

俺は、ほろ酔い
伊月は、酔っているけど一応理性を保てているらしいから
普段より少々ハイテンションハイテンポで話が進む

「ね、ひゅーが、今日何で遅かったのー」

「バ・イ・ト」

「ふーん、そっかあ」

「なんで?」

「いやー、やっぱいつも傍にいる人間がいないと寂しいもんだよね」

「は?……何、伊月寂しかったのか?」

「んー…多分?だからかな、飲み過ぎちゃったー」

「ふーん…」

ふふ、と酒で赤らめた顔で伊月が笑う

高校を卒業して幾年か経った今も時々クラッチタイムに入ることがある
そしてそのタイミングも最近は自分で分かるようになっていた
今だ、と思った
今の俺は、クラッチタイムなう、ってやつだと思った

普段の俺なら、伊月にいきなりキスするなんてことは有り得ないのだから

酒が入って力が入らないのか、ほぼ無抵抗の伊月に調子に乗って3回、4回と続けて一方的な口付けをする

「っふ…っ、んー!」

ぼろぼろと涙を流し始めた伊月に気付き慌てて唇を離す


はぁはぁと息を整える伊月に、熱に浮かされていた頭が理性を取り戻していく

「………いっ、伊月…?その、わ…るかった」

「…べ、つに良ーよ、どせっ、酔った勢いで、しょ」

元々バスケをやっていたからか、伊月の息が整うのは早い
でもどうして、こいつは泣き止まないんだろう?
1つの可能性が浮かんだけれど、それはあまりにも自分に都合の良い可能性
けれど伊月には当たり前といえば当たり前の誤解をされているようだ

「…勢い、だけで片付けたくねぇっつったらどうする?」

「は?え、日向それって…ッ!?」

クエスチョンマークを浮かべる伊月の頬に唇を寄せる
確かにキスしたのは酔った勢いだけれど、それだけでは無いのだ、と
LikeでなくLoveの心を込めたキスだ、と
涙の味を唇に感じて舐め取る

「…いづ、き……好きだよ?」

言葉を発した途端唇に暖かい弾力
目の前いっぱいに広がる整った伊月の顔
この感触は先程味わったものと同じもの、つまり伊月の唇

「…ッん!?」

ぬるりと入って来た舌は酒の味がした

「は、んぅ…っふ、ぁふっは、い、づきっ」

「っは、ひゅ、が」

「ど、して伊月?」



言葉にしたら消える気がして、怖いから
日向みたく酔った勢いに任せて俺もキスした
そうして全部伝われば良い

「おい、伊月?」

黙りこくった俺の顔を不安そうに日向が覗く

「うん、何でも無い」

「は?」

クエスチョンマークを浮かべ出した日向を尻目に、酒の勢いで生まれた睡魔に体を委ねた




「っおい、伊月?……え、何寝てんの?ったくー…理由聞きたかったよなあー、ちくしょー………俺も寝よ」


終わり

和虎様、今回は相互リンクありがとうございました!


いくら好きでも、いきなりキスされるのが嫌だった伊月
なので日向の告白塞ぐしちゃんと自分の気持ちを言ってあげないっていう抵抗しました(笑
かっこいい日向書きたかったのに伊月に振り回されてますね、なんてこった笑
返品修正、いつでも受け付けていますので気軽にお申しつけください!






紅様から素敵な相互作品を頂いてしまいました(*≧∀≦*)!
酔っ払い伊月くんが可愛くて私は画面越しに発狂しました←
素敵な作品をいただけて嬉しいです!
本当にありがとうございました!
改めて、末永く(?)よろしくお願いいたしますm(_ _ *)m




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