気持ちよく寝ていたのにドアが勢いよく開いた。 開いたかと思うとベットの中に何かが潜り込んできた。まあ、その“何かが”分かっているから焦らないけど。
「どうしたの、エース」
私の言葉にエースの顔だけがヒョコッと、私の体に覆い被さっていたタオルケットから出てきた。
「…………なんもねぇ」 「なんもないなら離れて?まだ夜明け前だよ?眠たいの」 「…………………無理」
そう言ってまたタオルケットの中に顔を戻すエース。なんだか小さな子みたいだな。まあ、体がデカイから苦しいけど。
「エース、寝にくい」 「……………」 「エース、離れなくていいからギューって抱き締めて」
私の言葉にまたタオルケットから顔だけ出したと思ったら、今度はニッコリと笑い私を抱き締めてくれた。
ちょっと機嫌戻ったかな?抱き締められながらエースをチラリと見てみるとエースと目があった。
「今日は珍しく甘えん坊じゃん、どうしたの?」 「…………なんもねぇって…」 「ふーん……」 「…………………………笑わねぇか?」 「笑わないよ」
小さな声で「あのよ…」って言い出したエースの声に耳を傾ける。
「***が他の男に取られる夢見た」
ブッと笑いを堪えるとエースに両頬を摘ままれた。
「お前ぇ何笑ってんだよ」 「い、いや………何か可愛くて…フフ」
気に入らなかったのか、抱き締めてくれる力が強くなる。けど、それも可愛くて仕方がないのは内緒だけど。
「なに、そんな夢見て寂しくなったの?」 「…………悪ぃかよ…」 「べっつにー?」 「しゃーねぇだろ……***の事そんだけ好きなんだよ。目が覚めたらすげぇ会いたくなったから会いに来た。……文句あんのか」 「ふふ、ないよ。ほんと愛されてるなー私って」
少しふざけて言うと私の両頬を摘まんでたエースの手が私の顎を少し持ち上げた。それと同時にチュッとキスをされた。
「愛してる。すげぇ愛してっからよ***、夢だとしても他の男ん所行かねぇでくれ」
ギュッと私の首元に顔を隠すように抱き付いてくるエースを優しく抱き締める。そんなエースに「エース」と呼び、目を見て私の気持ちを答える事にした。
「大丈夫、夢の中の私もエースの事大好きだから」
おでこをくっ付けてそう言うと安心したかのように寝ていくエース。 不安にならないで、私は貴方以外好きになれそうにないから。
- 不安にならないで -
その後眠りについたら、 エースと私が手を繋いで笑っている夢を見た。
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