10時間限定、真逆のあいつ! | ナノ

▽ ロー



ふ、ふ、ふ、これで…!これで…!!
あの俺様キャプテンをギャフンとしてやれる!!


いつも苛められて、こき使ってくるあの憎きキャプテンをこの薬で苛め返してやるんだから!


丁度いつもコーヒーを持ってこいって言う時間帯。
苦めのコーヒーに薬を入れてキャプテンの部屋へと向かう。薬入れたから味変わったりしないよね…


ちょっとした不安を持ちつつターゲットの元へ向かう。
コンコンとノックをしてダルそうな返事を聞いてからドアを開ける。


「コーヒー持ってきました」
「…………***のわりに珍しく気がきくじゃねぇか」


…一言余計だよっ!
心の中でグッと我慢しコーヒーの入ったカップを渡す。一瞬、カップに口をつけた瞬間キャプテンの眉毛がピクリと動いた気がしたがコーヒーを飲んでいった。


あ、焦ったー!バレたかと思った…!
ハラハラとしている間に飲み終わったみたいで、キャプテンがカップを渡してくる。


「ありがとう***」
「へ…………?キャプテンがお礼?」
「何だよ、俺だって感謝くれぇするって」


そう言って爽やかに笑うキャプテン。いつものヒニルな笑みじゃなく、スッゴく爽やか。イ、イケメンだ…!!普段からイケメンではあるが、いっつもヒニルな笑みで意地悪な事ばっかり言ってくるから、あまり思わなかったけど……


とりあえずカップを片付けようとすると「やっぱり自分でするよ」と言って私からカップを取るキャプテン。
や、優しいよぉぉぉ!あの意地悪キャプテンが凄く優しい…!真逆の薬さいっこぉぉぉぉ!!


なんて1人で思っていると「ん!?」とキャプテンが私の顔をみて眉間にシワを寄せる。


「なあ、***」
「な、なんでしょうか…(ヤバイ!薬がバレた!?)」
「お前日焼け止めはこまめに塗ってるのか」
「…………へ?」
「お前肌の手入れ最近、手ぇ抜いてるだろ?がさついているし、なんだこの腹!」


ムギュウとお腹のお肉を掴まれる。


「ちょ、キャプテン!!」
「後この腕も!!女といえど海賊してんだ。少しは鍛えとかねぇと、この世界はやっていけねぇぞ」
「す、すいません」


それから顔色が悪いやら、飯は食ってんのかやら言われた。な、なに!このキャプテン……凄い健康に対してうるさいんだけど………


まさかキャプテンの真逆って事で健康オタク的なやつ!?
それだと少し納得出来る。医者のわりに偏った食事に、不規則な生活。ほんとに医者かと疑いたくなる人だった。
しかも今のキャプテンをよく見ると、あの隈がなくなっている。


まじでか…と納得しているとキャプテンがうん、と頷きとんでもない事を言い出した。


「とりあえず腕立て、腹筋、スクワット30回を5セット。」
「え?」
「***は少し体を鍛えねぇとダメだ。だから腕立て、腹筋、スクワット今から30回を5セットだ」
「…………へ?今からですか…?」
「ああ、今からだ」
「む、無理ですって!私腹筋とか出来ないし!大体そんなにした事な「おい」


さっきまで優しかったのに声のトーンが低くなるキャプテン。もう嫌な汗が止まらないんだけど……


「この船の船長は誰だ?***。」
「…キャ、キャプテンです」
「じゃあ命令は絶対だよな?(ニコリ)」


笑顔はさっきの爽やかな笑顔なのに、怖くて仕方がない。だって刀抜こうとしてるんだもん!






「も、もう…無理ですぅ…」



普段全くしてない筋トレをさせられ、全身が痛くなり腕がプルプルして前に倒れそうになる瞬間、首筋にヒンヤリする物が。


「何、辞めようとしてんだ。」
「ヒィッ!………でも、もう無理ですっ!」


泣きそうになりながらも、必死に訴える。
だけど全くお構い無しに「続けろ」と一言。



くっそぉぉぉぉ!結局は俺様発揮しやがって…!!
みっちり5セットさせられ、まだ強要しない分普段のキャプテンのがましかも……


甲板で倒れながらそう思った。






- 10時間後 -



おい!何ノロノロしてんだ。早くコーヒー持ってこい
か、身体中が痛くて動けないんですっ!!
………………普段、ぐーたらしてるからちょっとした事で身体が痛くなんだよ
(全然ちょっとした事じゃなかったけど!?)

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