▽ 誕生日
***ちゃんに誕生日をアピールして早数ヶ月…覚えてる訳ねぇな。一応マルコもエースも祝って貰ったみてぇだが、最近空気な存在になりつつある俺の誕生日なんて……
ため息をつきながら昼メシでも作ろうと食堂へ向かうとドアの前にはご丁寧に椅子に座り、門番のようなハルタとイゾウが。
「何やってんだ、おめぇ等」
「見りゃあ分かんだろ?」
「いや、分かんねぇから聞いてんだ」
キセルから得た煙をダルそうに吐くイゾウと、俺の質問を完全無視するハルタ。
ほんと何なんだ、こいつ等。普段はメシが出来て呼んでもなかなか来やしねぇ癖に。
不思議に思いつつも関係なしに食堂へ入ろうとするが、流石白ひげ海賊団隊長だ。簡単には入れさして貰えねぇみてぇだ。
「わりぃが今日はコックの皆さんは食堂立ち入り禁止だ」
「んだよ、それ。コックがメシ作らねぇで誰がメシ作るんだよ」
「んーサッチで言うと女神?」
シレっとおかしな事を言うイゾウとハルタ。
なんだそれ。俺の女神っていやぁ、巨乳で童顔の子の事を言うんだよ。そんな子モビーに居たか?…あ、ナースのリナちゃんとか女神だな。
ってそんな事は今はよくて、なんで立ち入り禁止なのかが問題なんだよ。
「理由教えてくれねぇと納得出来ねぇだろうが」
「別に言ってもいいんじゃないの?」
「それだと***に怒られるだろ?」
いきなり***ちゃんの名前が出てきて余計話が分からなくなる。普段***ちゃんが食堂に来るのも俺に飲み物貰ったりする時ぐれぇなのに。2人の話を不思議に思っていると食堂から***ちゃんの叫び声が。俺を食堂に入れるか迷ってた2人ですら慌てて食堂へ入っていく。俺もそれに便乗して食堂へ入ると思わずプッと小さく笑ってしまう。
「なんであんた等邪魔ばっかする訳!?」
「いや、***!誤解だぜ?手伝ってんだろ!?」
「隠し味にパイナップルを入れとけば…」
「マルコ!!あんたはパイナップルの呪いか何かにかかってんの!?ただの嫌がらせ!?」
ギャーギャー言いながら、エースとマルコと料理をしている***ちゃんの姿が。
悲鳴の原因はどうやらエース達が***ちゃんの邪魔したからみたいだ。まあ、パイナップルは悲鳴をあげたくなるわな。
納得しつつ、ワザと見なかった事にしておこう。きっとサプライズを企んでいるんだろうし。
我ながらいい男だとにやけていると「***!サッチだぜ!?」と末っ子の間抜けな声が。
おいおい、それじゃあ***ちゃんの折角のサプライズが…
「あ、丁度いいや。サッチ来てよ!!」
………なんか、適当じゃね?
不満を感じつつも大人しく***ちゃんの言う通り3人に近づくと、色とりどりの美味しそうな料理がならんでいた。料理の横には形の歪なケーキが。
「ケーキは俺が作ったんだぜ?」
「…だろうな、***ちゃんが作ったにしては形が汚すぎる」
「けど美味そうだろー?」
嬉しそうに末っ子の頭を乱暴に撫で、料理を食べようとすると***ちゃんからのストップが。
「…サッチは確かもう1つ言ってたでしょ。気は全く乗らないけど」
ブスっとしながら言う***ちゃんを見て思い出す。
あーんだ!!まさかあのツンデレヒロイン***ちゃんがあーんだと…!
バッチリ覚えていたが、ニヤける口元を何とか我慢し思い出したふりをする。すると少し照れながら***ちゃんが「目閉じてよ」なんて言うもんだから、喜んで目を閉じる。
「サッチ……あーん…」
***ちゃんの声と共に俺の口に料理運ばれる。流石***ちゃんというか…俺の好みの味だ。味を堪能しながら感動のあまり目を開ける
「***ちゃん!!すげぇうめぇよ!!!って、は?」
目を開けると、照れながら俺に次の料理を運ぼうとしているエースのその後ろで笑いを堪えている***ちゃんにマルコ。
そんなもんだろうと思ったよ、俺の誕生日なんてな…。
- 誕生日 -
***ちゃん!?なに笑い堪えてるの!?結構傷つくんだからね!??
いやー、ニヤけてるの我慢してるの見たらちょっと…プ、
たく、ほんとエース以外には適当つーかなんていうか……ってマズ!!何入ってんのこれ!?
……マルコが隠し味とか言ってパイナップル入れてさ…
マルコぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!おめぇ料理馬鹿にしてんのか!?
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