×××について語ろうか | ナノ


▽ 俺の誕生日




今日は普段より少し寒いせいか、朝日が昇っても布団から出る気にならねぇ。
生憎、今日は2番隊は何も係りになってねぇし2度寝でもするかと布団を頭にかぶり直しウトウトしていた時ドアが開く音が。


どうせ隊員が起こしに来たんだろうと、シカトをしようと目を閉じ直した時腹に激痛が。


「ほーれ、起きろよクソ野郎」
「ホゴッ!!?」


激痛で飛び上がると俺の腹に思いっきり肘を食い込ませている***がいた。


「い、いってぇぇぇ!!」
「早く顔だけでも洗ってきて」
「は?いきなりなんだよっ」


腹を摩りなら聞くと久々に女王様を発揮した***に「いいから顔洗ってこい」と言われ急いで洗いに行った。
久々に恐ろしい***見たな……少し焦りながら帰ってくると、珍しくスカートをはいた***が甲板で待っていた。


「ちょっと買い出しの荷物持ち手伝って。つーかストライカー出して。」
「あ?構わねぇけど。スカートで大丈夫か?」
「ま、大丈夫でしょ?すぐそこの小島だし」


そんな事を話しながらストライカーの準備をしているとある事に気がつく。いつもより甲板に居るクルーの数が少ない。いつもならムサイ奴等がわんさか居るんだけどな。
俺の考えてる事に気が付いたのか***が「ああ、」と口を開いた。


「なんか珍しい魚が取れたとかで料理食べ漁ってるんじゃない?」
「珍しい魚!?んだよそれ!俺も食ッグエ」


食堂へと向かおうとすると首飾りを勢いよく掴まれる。


「島でご飯奢ってあげるから早く済ますわよ」
「………へーい」


珍しい魚……一体どんな味がするんだ!?脂のっててうめぇんだろうなあ。つーかどんな風にあいつ等食ってんだよ。
悶々と考えるが、駄々はこねない。なんせ女王様がこえぇから。


そこからは***の言っていた小島に向かい事前にサッチから貰ったというメモに書いてある物を買う。
確かに結構な量だな。俺付いてきて正解だったな。1人納得していると***の姿が見えねぇ。まさか変な奴に絡まれてるんじゃねぇだろうな!?キョロキョロと周りを見渡していると「何してんの」と冷たい***の一言が。
振り返るとアイスを食べていた。あ、うまそうだなってアイスを見て思っていると「ホイ」と***が俺にもアイスを差し出してくれた。


「無難にバニラだけど良かった?」
「食えれば何でもいいって!サンキュー!!」


そこで気が付いた。そういえば両手に荷物持ってたな。荷物を置き***からアイスを受け取ろうとすると無愛想ながら「ん、」とアイスを突き付けてくる***。


ま、まじでかぁぁぁぁ!!
あのツンツンツンツンな***が俺にア、アーンだと!!?どんな角度から食えばいいんだ!?こ、こうか?
焦ってなかなか食わない俺に痺れを切らしたのか口元までアイスを持ってきてくれた。


「どうしたの?食べないなら私食べるけど」
「いや……食うって…」


ゴクリと息を飲みアイスを一口、口に入れる。うっめぇ!!!なんかいつも以上にうまく感じる気がするぞ!?
ふふふと、にやけていると***に気持ち悪いと引かれたが気にしねえ。つーかなんかこれってデートっぽくね!?


「なんかよ、これってデートっぽくね!?」
「…………」


思わず思った事をそのまま言ってしまった。
やっべぇ。調子に乗りすぎて***の奴怒ったか!?
急に何も言わなくなった***を横目に冷や汗が止まらない。どうする?ど、土下座して許してもらうか?
男としての尊厳なんて考えてる余裕なんてダラダラと汗を流していると「……帰るよ」とそっけなく言い歩き出す***。お咎めなしか…。安心して***の横を歩き出す。


俺の失言から何も言わない***を盗み見てみると、耳が少し赤い事に気がつく。
もしかして***の奴少し意識してくれてんのか?そう思うと思わずにやける。普段の***からは想像出来ないからな。
それからストライカーでも話はしなかったが、その空気もなんだか心地よく感じながらモビーへと戻った。


モビーへと戻り***に「悪いけど荷物食堂まで運んどいてくれない?」と言われスキップしながら食堂へと向かった。
俺にとっては***が照れてくれたというのは、たった少しの事でもスキップしてしまう程嬉しい事だった。
食堂に近づくにつれ、なんだかいい匂いがしてくる。そう言えば珍しい魚が取れたって言ってたな。少し食べれなっかた事に残念がりつつ、食堂のドアを開いた。


パン!パンッ!


俺がドアを開けた瞬間発砲音のような音が響く。思わず敵か?と身構えると笑い声が。


「エース!おめぇ何してんだよ」
「全く、主役がそんだと気が抜けるよい」


マルコがそう言いつつ指を鳴らす。マルコの指の音をきっかけに、すげぇ下手くそな歌が始まった。
下手くそだが、何だか心があったかくなる。んだよ……ラクヨウ声は人一倍でけぇくせに、人一倍下手くそなだよ…。
そう思っていると、俺の後ろのドアが開く。
振り返ると***がガラガラと大きなケーキを乗せた台を押してきた。そのケーキにはデカデカと‘happy birthday!’の文字が。


そうか…俺誕生日だったな……。
そのケーキを見て思い出すなんて俺も歳か?しみじみ思っていると***に「フーって息かけて」と言われロウソクの火を消す。消えると同時に適当ながらパチパチと拍手をする音が。


「……ありがとな」
「ほんと感謝しろよ?エース。1日ではなかったが、***ちゃんと半日も一緒に居れたんだからよ」
「しかもエース引き止める役、***からす「は、ハルタ!!」


ハルタの言葉を遮る***を見て思い出した。
そう言えば俺、***に誕生日のリクエストで一緒に居てぇって書いて渡したっけ。それで今日、朝から珍しく俺の部屋に来たのか。
少し不器用ながらも俺の願いを叶えてくれた***に思わず抱きつく。


「ほんとありがとうな!!俺こんな嬉しい誕生日初めてだ!」


いつもは抱きついたりすると怒る癖に今日は怒らないのも誕生日のおかげだな。
また少し耳の赤い***を見ながら思った。





- 俺の誕生日 -



ちなみに、***の私物は……
調子に乗んなよ、そばかす。
(もういつもの***に戻ってらぁ…)
エース!!そこんとこは、このサッチ兄さんに任せろって!ほれ、***ちゃんのパ「サッチ…?」すまんエース。今年はプレゼントなしで……


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