×××について語ろうか | ナノ


▽ 看病




料理なんて簡単だっつーの。
目の前でグツグツと言っている鍋を見ながら***の喜ぶ顔を思い浮かべていると横からサッチの怒鳴り声が響く。


「エース!!鍋噴き出すだろうが!火ぃ弱めろ!」
「あ?こんぐれぇ平気だろ?」
「おめぇ目の前の鍋見てよくそんな事言えるな」


サッチの怒りと呆れの混じった声に言われ鍋を見てみると確かに噴き出していた。慌てて火を止めると少し焦げ臭い臭いが。


「げ、焦げたか?」
「あんだけグツグツ言ってたらそりゃあ焦げるだろい」
「うっせぇ」
「つーかなんで男3人で料理しねぇといけねぇんだよ。どうせなら俺は可愛いナース達としてぇつーの。」


そんな事言いながら俺とマルコの分の皿を出してくれるサッチ。なんやかんやで面倒見いいんだよな、こいつ。そう思いながら少し焦げ臭いお粥をお皿に盛り付けマルコとサッチと***の部屋へと向かった。


何で男3人で料理してるかって言うと***が珍しく風邪をひき、熱を出して寝込んだ。その情報を手に入れたサッチが「俺の出番!」つってお粥を作ろうとし出した。それを発見した俺。
他の奴等だったらサッチに任せているが今回は***だ。よく体調崩してる時に優しくされるとイチコロなんて言うだろ?もしかしてサッチの野郎得点稼ぎか!?って思った俺はサッチの邪魔…じゃなくて手伝いついでに俺もお粥を作った。


***には沢山食って早く元気になって欲しいしな。
めい一杯よそったお粥が溢れないようにそーと歩きながら***の部屋の前まできた。
ドキドキしながらドアをノックする。けど反応がねぇ。寝てんのか?けど折角作ったのを***に食って欲しいんだけどな…


「どうする?***ちゃん寝てるっぽいし戻るか」
「これどうすんだよ」
「後で温めて食えよい」


それもそうだなと納得し引き返そうとした時ガチャリとドアが開いた。お、起きた!と思い「***ー!」と声をかけたもののドアからの暗いオーラみてぇなもんが出ていて怯んだ。


「ゴホッ!……………………なに」
「なんだよ***!おっさんみてぇな声っ…イッテェな!サッチ!!!」
「風邪で声が出にくいんだよ。あんま無理に喋らすなよ」
「……分かってるよ」


いつもより遥かに低く掠れた声に思わず笑ってしまうとサッチから鉄拳が。覇気使って殴んなよ。
それより***の具合が想像以上に酷い。風邪ってそんなに辛いもんなのか?


そんな事を考えながらも恐る恐る「大丈夫か?」と話しかけると「……ぼちぼち」とまたガラガラのおっさんみてぇな声で返してくる。


「ま、***ちゃん。食欲ないかも知れないけど俺等でお粥作ったから少しでも食べて元気になってよ」
「…………ごめん、ありがとう…折角だし今から食べるわ…悪いけどこのまま持ってきてくれる?」
「お、おう!任せろ!」


***の部屋に入れる!と少しドキドキしながらはいり綺麗に整頓されている部屋をキョロキョロと見渡す。なんか……エロいな…そう思いつつもベットに座る***に作ったお粥を差し出す。


「***!!俺の食べたら一発だからよ!」
「…とりあえずいただきます」


スプーンに少しお粥をよそい食べる***。
熱のせいか顔が少し赤いのが、これまたエロい。


「ちょ、エース!あんた何このお粥……」
「なんか変だったか?」
「変って少し焦げ臭いし、なんかしょっぱいし…てかなにいれたの?」
「塩を一掴み!!」
「ゴホッゴッ…ひ、一掴み!?ひとつまみじゃなくて!?」
「おう!一掴み!!」
「アホか!!そりゃあ、しょっぱいわ!!」


叫ぶもんだからゴホゴホと咳き込む***。
そんな***に「エースに期待なんてするもんじゃねぇよい」なんて言いながらお粥を差し出してるマルコがいた。


マルコのお粥はたまご粥か…?少し黄色いお粥をマルコから渋々受けとる***。
恐る恐る口に運び口に入れた瞬間***の顔色が変わった。


「マルコ……これなに粥?凄い変な味がするけど…」
「隠し味にパイナップルを入れといたよい」
「ふざけんな、クソパイナップル!!」


***が顔色が悪いまま、マルコが言葉を発すると共にクッションをマルコ目掛けて投げつけていた。そりゃあそうだ。俺が***の立場なら同じ事をするだろな。


「もうやだ……熱上がる……」
「一緒に料理してたのに気付かなくてごめんね、***ちゃん…。俺のはまた後で食べてよ」
「ごめん、サッチ……先にサッチの食べとけば良かった……」


後悔してる様子の***だったが、ほんとに熱が上がってきたみたいで辛そうだ。
悪りぃ事したな…申し訳ない気持ちになり温くなったタオルを冷たいタオルに変えて部屋を出る事にした。






- 看病 -




(早く***元気にならねぇかな…)
(あいつ等の料理は殺人級だわ……しぬ…)


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