▽ ハロウィン
「……なかなか似合ってるよい」
「ほんと思いの外似合ってるわっ!!」
笑いをこらえて言うマルコとサッチに、手元にあった飴玉を叩きつける。
「おめぇ等半笑いで言ってんじゃねぇぞ!!?」
「いや、ほんと似合ってるよい…ぶっ」
「ごっついメイドだわー!」
なんて笑顔で言う***だが、言い出しっぺは勿論***だ。ナース達とハロウィンをすると言い出し、俺達の分まで用意してくれてた所までは良かった。問題はその衣装だ。
マルコはミイラ男、サッチはフランケンシュタインといたって普通なのに、なんで俺はメイド服なんだよ!
「確かに***にメイド服リクエストしたけどよ、俺が着るのはちげぇだろ!?」
「似合ってるからいいじゃん」
「半笑いで言われても説得力ねぇし!!」
すでに今までの会話中、こいつ等笑いを堪えてやがる。サッチなんて涙目で必死に壁を叩いている。
「大体、何で***は色気の欠片もねぇカボチャの被りもんなんだよ!」
「んなもん被るだけで楽だから」
シレッと言う***の格好は、いつもの服装にカボチャの被り物を頭に被るだけと言う手抜きにも程があるほどの手抜きだ。
くそっ……あわよくばエロいの期待してたのに……
メイド服のまま残念がっていると「いたわよー!!」と大声で叫びながら走ってくるナース達。
「ちょっと***!何、その格好!!」
「楽だからいいじゃない…」
「ダメよ!!私達ちゃーんと用意してあるんだから……」
ふふふ、と笑うナース達に後ずさりをする***。
だがナース達のが上手みてぇで囲まれた***はナース室へ連行されていった。
「絶対***は、あれ似合うわよ!」
「ね!可愛いわよぉ!」
「もういやっ!私の癒しだったあんた等の笑顔が嫌いになりそうだっ!!」
なんて騒いでいる***の声が遠くなった時、俺の嫌いな奴の声が聞こえた。
「***さーん!イタズラしに来まし……何やってんスか、エースさん……」
「うっせぇ!俺だって好きでしてんじゃねぇ!!」
「………へぇ…」
俺の事を冷たい目で見るのはハロウィンの格好をしたソラだった。
「***さんどこですか?俺***さんに会いに来たわスよ。」
「………***はナースに連れてかれた」
俺の言葉にわざとらしく残念がるソラ。つーかブリューも好き勝手にさせてんなよ。
なんて勝手に八つ当たりをし***とナース達の帰りを待つが、待つ間の沈黙がすげぇ来まづい……
俺もソラも必要最低限しか関わりたくねぇみてぇで一言も喋らなかった。
時間はそんなにたってねぇのに、すげぇ長く感じる…***達早く戻ってこいよ…!
そう思った時ナース達の騒がしい声が聞こえてきた
「***が着替え終わったわよ!」
そう言ってドンッと誰かに押され出てきた***はナース服。つっても普通のナース服とは違った。
「ゾンビナースにしてみたのー」
満面の笑みで言うナースを前に膨れっ面の***。
膨れっ面だが、さっきのカボチャの被り物よりはるかに可愛い。つーかナース服が少し破れててエロい。少し血のりメイクしてるが。
「うっわー…***さん凄い可愛い!!」
俺よりも先に***の側に行き笑顔で言うソラ。
ソラを見た瞬間***の顔が変わった。
「ソラ!!聞いてよ!私はカボチャの被り物で十分だったのに、ナース達が!!」
「……***さん、それより今のが良いですよ?」
カボチャの被り物と***の顔を交互に見てソラが言う。くっそ……俺が言いたいセリフ全部言いやがって……
「***さんの可愛いさ引き立ててるよ!可愛い過ぎてイタズラしたいくらい!!」
「ほんと?いい歳して痛くない?」
「全然!!もう我慢出来ないっ!イタズラしてやるー!」
なんて言って***に抱き付くソラ。
「ソラてめぇ!!どさくさに紛れて抱き付いてんじゃねぇ!!」
「……変態隊長は黙ってて下さいよ」
「ぷ、変態隊長…!」
「***のせいだからな!?言われてんの!」
「ソラはオオカミ男?」
「そうですよー!***さん食べちゃうぞー!」
「おめぇ等無視してんなよっ!!!」
ハロウィンなんか二度としねぇ!!!
- ハロウィン -
いっやー。久々の登場なのに俺等空気だぜ?
まあ、あの3人が揃ったら仕方がねぇよい。まとまらねぇからな、近寄らねぇのが一番だ。
ま、そりゃそうだ。
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