▽ Mっ気体質
「***さんおはようございます!」
「おはよう、今日もいい天気だね」
「そ、そうっすね!」
「あれ?顔赤いけど熱でもあるの?」
「な、な、ないっすよ!!」
そう?とか呑気な事を言って自分の手をクルーのデコに当ててる***。そう、頭を打った衝撃で性格が180°変わった。大人しくて優しい***に。あ、こんな言い方すると普段の***がすげぇ性格が悪いみてぇだな。
まあ実際、叫んだ後も「ご、ごめんなさい。男の人の…裸初めて見たから…」とか乙女みたいな事を言った。それからは一応シャツを羽織っている。じゃねぇと、なかなか俺の方を見て喋らねぇからな。
つーか……デレデレしやがって、あいつ。後でぶん殴ってやる。***にあんな事してもらいやがって…!俺だってして欲しいとか内緒だけど。
ぶすぅーっと***とクルーを見ていると、***が俺の事に気が付いたみたいで笑顔で近寄ってくる。
「そんなお顔されていると、かっこいいお顔が台無しですよ?エースさん」
「……………んな事ねぇよ」
「ならいいんですけど」
ふふ、と笑顔で喋る***がすげぇ可愛い。普段見せねぇ顔が見てれて嬉しいけど、その分普段なかなか喋りかけれねぇ奴等がこぞって***に話しかける。
俺はそれが物凄く気に入らねぇ。
まあ、普段の***でもクルーの事は大切にしてるし普通に喋る。
けど普段のあのツンツンに話しかける勇気がないのか、遠くから見ているだけだった奴等がデレデレした面で***に話しかけているのが。
「エースさんどうしたのですか?」
「別になんもねぇ」
「でも、何か不機嫌そ「***ちゃーん!」
ゾロゾロとニヤニヤと笑うサッチがクルー達を連れてこちらに向かってくる。
「あのさ、***ちゃん!実は頼み事があるんだよねー」
「私が出来る事なら是非言って下さい…!」
「んもー!***ちゃん可愛い!健気!!じゃあ、早速だけどさ、これ着て欲しいんだよね」
そう言って紙袋を渡すサッチ。***も不思議がっているみてぇだが、紙袋を持って「と、とりあえず着てきますね」と自分の部屋へ向かった。
「………何渡したんだよ」
「ふ、ふ、ふー。いやーこいつ等が是非***ちゃんに着て欲しい服があるってうるさくてよー」
「俺等ずっと***さんが着ているのを見たかったんですけど、なかなか隊長等みてぇに言えなくて……」
「そしたら***さん今、性格変わってるって聞いてどうしようかと悩んでたらサッチ隊長が」
「力を貸してやったって訳♪」
ピースをして言うサッチ。***にぶちギレられた事なんて、すっかり忘れてるみてぇだ。
「いやーこいつ等もなかなかいい趣味してるわ!」
「どんな服だよ」
「まあ、それはお楽しみって事で♪ぜってぇエースも気に入る!」
ドヤ顔で話すサッチを横目に***が来るのを待っていると小さな声で「あのー…」というのが聞こえた。声をする方を見ると***が顔を真っ赤にして扉から顔だけを出していた。
「こ、これでそっち行かないとダメですか……?」
「そりゃあ勿論っ!!」
「でも……凄く恥ずかしいんですけど……」
「大丈夫!大丈夫!」
渋々出てきた***の姿は、サキュバスの姿だった。背中にはコウモリのような羽、胸も下乳が丸見えのギリギリ乳○が隠れるくれぇで、下のズボンもすげぇミニ。
「おおおおおおおおおおおお!!」
「夢に見た***さんのサキュバス姿…!!」
「もう着替えてもいいですか……」
「えー、何でよ。すげぇ可愛いよ?***ちゃん」
確かにすげぇやべぇし、いつもの俺なら確実にあいつ等と混じって絶賛してるが、気に入らねぇ。***と前に立ちサッチ達から***が見えねぇようにする。
「おい、***が困ってんだろ。もう着替えてもいいだろが」
「エースさん…!」
「なんだよエース。ほんとはお前も嬉しい癖によー!」
「……うっせ。***、とりあえずこれ着てろ」
「あ、ありがとうございます」
俺がシャツを脱ごうとした時、***と俺の間に黒いものがカサカサと通り去る。
「「え」」
2人して足下を見ると黒いものがまたカサカサと間にきた。よく見るとそれはゴキブリだった。そうだと分かった瞬間「きゃぁぁぁぁぁぁ」と叫び出し気を失ったのか後ろに倒れていく***。
「お、おい!!***っ!!」
***の腕を掴まえようとした瞬間、ダンッ!という音とプチッという音が***の足下から聞こえた。
「え……」
驚きつつも恐る恐る***を見ると鬼みてぇな顔の***。あ、あれ……俺の目の前にさっきまで居たのは、可愛い悪魔だったよな?こんな鬼じゃ……
「なによこの服…」
低い声で俺を睨む鬼…もとい***。
「い、いや、それはサッチ達がよぉ……」
そう言って振り替えると走り去っていくサッチとクルー達。あ、あんにゃろぉ……
「サッチとか居ないじゃん。つーか懲りずにあんた、またこんなの着せた訳?しかも今回は薬かなんかで眠らせて勝手に着替えさせた?」
「え!ち、ちがっ…!誤解だっ!!」
俺の言葉なんて全く聞いてくれず、しかも頭を打ってからの記憶はないらしく勘違いまでされているようだ。
ドカドカと足音をたてて俺に寄ってくる***。腕が降り上がり、殴られる!と目を瞑った瞬間、いきなり服を剥がされた。
「この変態童貞野郎が。」
冷たい目で俺のシャツを着ながら話し、自分の部屋へ戻る***の後ろに姿を見てゾクゾクした。
…………つーか……あれ戻ってるよな…!?
またキレられた事や勘違いされてる事なんて忘れて喜んだ。
- Mっ気体質 -
あれ?冷たい目であんな事言われて嬉しがってる俺って……やっぱりMっ気体質なのか……?てかサッチ達殴るっ!!!
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