▽ メイドさんごっこ
「エース、エース」
誰だよ、俺の睡眠の邪魔する奴。起きたくねぇけど、しつこく体を揺すぶられる。いやいや目を開けてビックリした。
「あ、起きた?」
え、ゆ、夢か?だって目を開けたら俺の好きな***が…
「え、メイドさん…?」
「着てみたんだけどさ、どう?似合うでしょ?」
そう言って一回転する***。正直言ってめちゃくちゃ可愛いじゃねぇか!!自分の想像を遥かに越える可愛いさに悶えていると、ふと不思議に思った。
「でもなんでメイドさん?」
「前あんた達がコスプレの話をしてた時、最終的に私が一通り着る事になったんじゃない。不本意だけど」
………確かサッチがそんな事言ってたような…
「まあ、私的にはメイドさんが一番着たかったんだけどね?」
そう言ってスカートの両端を掴む***
「いや、もう最高です。ありがとうございます」
思わず90°に腰を曲げてお礼を言う。そんな俺を見て笑いながら***が「朝ごはん食べよう」と俺を食堂へとひっぱる
「さ、エース…じゃなかった。ご主人様、お召し上がりください」
普段見せねぇ笑顔で***が俺の前に大量の料理を持ってきてくれた。ご、ご主人様!?戸惑っていると「その方がメイドさんっぽいでしょ?」と***が言った。照れ隠しでガツガツと食っていると何だか視線を感じる。
「てか、エース。何か命令してくれないとメイドさんになった気しないじゃない」
「命令!?いや、そんな事したら***怒るだろ?」
「今日は特別に許す!何でも楽しい方がいいでしょ?」
ほ、ほんとにいいのか?後で怒られたりしねぇか…?そんな事を思いつつも勇気を振り絞って言った
「じゃ、じゃあ、メシ食わせてくれ…」
「ふふ、かしこまりましたご主人様」
オドオドしながら言う俺にニッコリ笑顔でメシを食わそうとする***。こ、これは夢にまで見た“あーん”ってかやつじゃねぇか!!ダラケきった顔をしているのは分かっている。けど俺、すげぇ幸せ
それからも***に命令をした
「喋り相手になってくれ」
「かしこまりましたご主人様」
「一緒に釣りでもしようぜ」
「かしこまりましたご主人様」
何を言っても笑顔で答えてくれる***に俺も気をよくしてきた。そして思わず欲がでた
「ひ、膝枕してくれよ」
「…………………」
それまで即答だった***の答えが止まる。まずい!調子に乗りすぎだと殴れるか!?そんな事を思って目を閉じると殴れる気配はない。少し目を開けてみると***が正座をしていた。
「さ、ご主人様。どうぞこちらに」
ま、まじでかぁぁぁぁぁぁぁ!!普段の***なら確実に殴られているのに!メイドさん最高っ!
***の膝に頭を置く。や、柔けぇ…!!ニヤニヤと***の膝の感触を楽しんでいると、頭に温もりを感じた。ふと見てみると***と目があった。
「あ、ごめんエース。何かエースが可愛くて頭撫でたくなって………」
少し顔を赤らめながら言う***を純粋に可愛いと思った。折角の膝枕だったのだが起き上がり***の方を見る。普段見れない照れてる***がすげぇ可愛いくて、好きって気持ちが高まった。
「***……その……キスしていいか…?」
俺の問いに少し戸惑いを見せた***。だが真っ直ぐ俺を見たかと思うと目を閉じた。これもメイドさんだからか?………そうだとしてもこんなチャンスはねぇ。俺も目を閉じ***の顔へと近付く。
後20cm、後10cmとゆっくり近付いていく。心臓がすげぇ早く動いているのを自分でも分かる。***とのキスまで後5cmとなった時、後頭部に痛みを感じた。
「いっ、いってぇぇ…………」
そう思って目を開けると自分の部屋の天井。頭だけベットから落ちている俺の体勢。
え、***わ?周りを見てみても居なくて可笑しいなと思いつつさっきまで居た食堂へと向かう。食堂に入ると***がマルコとメシを食っていた。さっきまで***は俺と一緒に居たのにマルコの奴、あまりにもメイドさん姿の***が可愛くて殴りやがったな!?
ドカドカと歩きながら2人に近付く。
「おい!マルコ!何俺のメイドさんとメシ食ってんだよ!!」
「メイドさん?」
「………何言ってんだよい、エース…」
俺の言葉に呆れ気味のマルコと、普段の姿の***
「あれ?***?メイドさん辞めたのか!?すげぇ可愛いかったのに!!」
「はあ!?メイドさん!?なにそれ!!」
「何言ってんだよ!さっきまで俺のメイドさんだったじゃねぇか!!そ、それよりさっきの続きしようぜ…?」
***の肩を掴みキスをしようと目を閉じた。さっきみたいに20cm、10cmと近付けていく。
やっと夢にまで見た***とのキス………ニヤけるのを必死に我慢して後少しでキス!という瞬間衝撃が走った
「何朝から盛ってんだ、このエロガキィィィ!!」
バコーンと左頬に痛みが。目を開けるとすぐに分かった。“***が怒っている”と。
「え、何で!?さっきまであんなに……」
「私はずっとマルコと朝ごはん食べてたから!何勘違いしてんの?
…………気持ち悪い」
冷たく言いはなってスタスタと食堂を出ていく***。え、どうゆう事!?訳が分からなくてポカーンとしているとマルコが俺の横にしゃがんだ。
「エース……まあ、それが……ブッ……ゆ、夢落ちってやつだ」
「夢………落ち……?」
あんなに可愛かった***が夢?そしてさっき俺を殴った***が現実??
「嘘だろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!?」
末っ子がヒロインとメイドさんごっこをした結果
→ 期待通りの夢落ちでした。
すげぇ可愛いかったんだぞ***の奴!?俺の命令何でも聞いてくれて………
ブグッププ…まあ、夢だからな、エース…ブッ…
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