あおなぐざ | ナノ

▽ ずるい人


  

何度も何度も鏡の前で自分の服装、髪型を確認する。何度見ても変わる訳ないのだが自分が可笑しくないか、エース先生に気合い入り過ぎと言われないかと色々考えていくつれ不安がつのるばかり。


『やっぱり化粧は普段通りにしよっ!!』


いつもより少し濃いめ…と言っても友達と遊ぶ時は少し濃いめにするのだが今回は友達と違う。
先生だ。変に意識してるとバレたら何を言われるか…


少し恐ろしくなり化粧を落とそうとした時、運悪くスマフォが震え出す。
画面を見ると大好きな人からの電話。無視なんて出来る訳もなく渋々スマフォの画面を触る。


「うーっす!準備出来たかー?」
『………はい』
「お前なんでテンション低いんだよ」


エース先生の問いに無視をし『もう着いたんですか?』と聞くと元気のいい返事が。お母さんに一言出掛けてくると告げ玄関を出ると一台の車が止まっていた。


あれかな?
そう思い車に近付くと窓ガラスが動き始めその中から顔馴染みが出てきた。


「***ーっ!」
『………は?』


そこには元気よく手を振るルフィ。その後ろから少し申し訳なさそうにこちらを見ているエース先生が。訳のわからない私に平然と「***!早く後ろ乗れよ!」と眩しい笑顔で言うルフィに合わせ車の後ろに乗り込む。
乗り込むとエース先生が、ルフィに分からないように話しかけてくる。


「わりぃ…家出る時にルフィに見つかった……」
『え、それって大丈夫なんですか?』
「まあ、ルフィなら大丈夫だろ。なんてったってルフィだしな」


シレっとそう言うエース先生に弟大好きな人も焦ってんだなと察しそれ以上は聞かない事にした。


「まあ、今から行く所は顔なじみがしている所だからそこにルフィを押し付けとけば大丈夫だ」
『まあ、エース先生が言うなら信じますけど…』


実際ルフィも呑気にメシメシと変な歌を歌ってるし大丈夫か…。
窓の外の景色を見ながらエース先生を信じる事にし、動く景色を楽しむと少ししてから車が止まった。見たことのない町並みから、どうやら隣町みたいだ。
「おりろよー」と言うエース先生の声につられ車をおりると、そこは小さな喫茶店みたいだ。
私やエース先生を置いて何か叫びながら勢いよく喫茶店に入っていった。


「おい、ボーっとしてんな。行くぞー」
『あ、はいっ!』


ルフィに続いて歩いていくエース先生に、置いていかれないように駆け足でついて行こうとすると「転けんぞー」と笑顔で言う先生にときめいていると手を何かに掴まれた。


「転けるは勝手だが、俺を巻き込むなよ!」


ニィっと少しからかうような笑顔で言う先生の手をギュウっと握り返す。すると嬉しそうに笑う先生がブンブンと手を振り出し喫茶店に向かって行く。


「うーすっ!マキノメシ食わしてくれ!」


そう言うエース先生の後ろから覗くと、そこには綺麗な女性が。見とれていると女性と目が合い、微笑んでくれたが思わずドキッとしつつぎこちない笑顔で返す。
そんな私なんてシカトでいつの間にかエース先生とルフィはカウンターに座り、女性と仲良く話している。私も座るべきなのかとオドオドしていると女性が「どうぞ」と優しく言ってくれ、エース先生の隣に座る。


「エースとルフィのお友達?」
『え?はい!!』
「とても可愛らしいお友達さんね。是非座って?」


女性が柔らかく微笑み言ってくれ素直に座る。
流石にエース先生の知り合いとは言え、軽々しく付き合っているとは言わない方がいいよね…。
1人考え込んでいると、それまでルフィと騒いでいた筈の隣の人物がこっそり私の手を握ってくる。
ビックリして思わず凄い勢いで横を見るとしてやったりの顔をしているエース先生。


この人はいつもそうだ。
不意打ちで私をニヤつくような事をしてくる。私も何か仕返しでもしようかと考えているとあいている筈の手に違和感が。何故ならあいている手も誰かに握られているみたいだからだ。
私の横は誰も座っていなかった筈だ。そう自分の中で整理すると同時に怖くなり勢いよく横を見ると見知らぬ男の人がニッコリと笑いかけてくる。


「怖がったりしねぇの?」
『……いや、怖いですけど…』


平然と聞いてくる男の人に思わず私も平然と答えてしまう。そんな私にエース先生も気付いたのか「どうした?」少し怖い顔をして聞いてくる。だが、そんな顔も男の人を見ると同時に顔つきが変わった。


「んだよ!サボじゃねぇか!!!」
「よう!エース!おめぇがこんな所に居るなんて珍しいじゃねぇか」


お互いそう声をかけると豪快に笑い、お互いの背中をバンバンと叩いていた








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え……誰…?


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