あおなぐざ | ナノ

▽ 大人しく勉強します


   

私のやる気はエース先生のたったあのメールだけで上がるが、それと同時に直ぐ下がるくらい気まぐれなモノで私自身困るものがある。


『提出物仕上げるだけで精一杯なんだけど!』


普段どんだけ自分が復習をしていないのかテストが近づくにつれ実感する。そして実感が出る程、やる気が少なくなってくる。
毎回復習がてらテキストを進めていれば、テスト勉強も余裕が出来るんだろうな…。
自分が完全に悪い為必死に進めていると手元に置いてあるスマフォが震える。誰よ!人が必死に仕上げているのに!!完璧に八つ当たりで『もしもしっ!』と不機嫌に答えた事を声の持ち主に気が付き直ぐに後悔する。


「なんだあ?余裕ねぇみてぇだな!***!!」
『エ、エース先生!?』


スマフォ越しにでも分かる少しからかっている様子のエース先生。や、やらかした!てっきりナミとかだと思っていたから、あんな態度を取ってしまった。
ぬあああ、と声にならない後悔をしていると呑気なエース先生の声が、そんな私の後悔をぶっ飛ばした。


「こりゃあ、デートはお預けだなあ…」


絶対ニヤニヤしながら言ってるな先生…。けど負けず嫌いな私には、そんな言葉はやる気が俄然出てくる訳ですよ。


『大丈夫です!!私の先生に対する愛を舐めないで下さいよねっ!先生は安心してデートコース考えていて下さい!』
「……そりゃあ、俺も***が満足出来るようなデート考えないとなあ!」
『頼みますよ!初デートなんですから!』


ほいほいと笑いながら言うエース先生。けどある事に気が付いた。普段はメールが多いエース先生が電話なんて少し珍しかった。


『てか電話ってどうしたんですか?』
「なんだよ…用がねぇと電話しちゃいけねぇのかよ」
『いや、そうゆう訳じゃないですけど…』
「単に***の声が聞きたくなったから電話しただけだ。男はそういうもんだろ?」
『……そうなんですか?』
「おめぇ今までどんな男と付き合ってきたんだよ」
『んー…普通ですよ?ちょっとナルシストとか、ちょっと現実が見えない中二病とか、ちょっと勉強好きとか、ちょっとパチンコ好きのギャンブラーとか…』
「おめぇ…もっと男見る目養えよ…」
『けど皆優しかったですよ?』


私がそう言うとため息を吐くエース先生。
だってほんとの事だし…。そりゃあ、ナミにもボロカスに言われたけどさっ!流石にルフィにまで言われてショックを受けたのは内緒にしておこう。けど言われっぱなしもシャクに触る。少し反撃してみようかな…。


『それに私の見る目がないって事になるとエース先生もダメ男って事になりますよ?』
「おめぇ…そうなるのは何か酷くね?」


少し拗ね気味に言うエース先生だが声が笑っている。
学校ではなかなかこんな風には喋れないから、些細な事を喋っているけど嬉しくて仕方がない。
幸せを噛み締めていると、そんな幸せな時間も終わりを向かえるみたいだ。


「そろそろ勉強しねぇといけねぇな…」


エース先生のその言葉に寂しくなる。テスト期間だから仕方がないのだけど…


『………』
「プ、あからさまに落ち込むなよ!!」
『いや…だって……こんな風にエース先生と話せる機会なかなかないんで…』
「ばーか。テスト頑張って…デートすんだろ?そん時イヤって程喋んだろうが。」


先生の言葉にニヤけていると「じゃあな」と電話を切られた。
切り方そっけな!!!!
先生らしいものの淋しい気持ちを我慢し勉強に励む事にした。







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(絶対学年平均より高い点数だすっ!!)
(楽しみだな、あいつの頑張り)


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