あおなぐざ | ナノ


▽ え、嘘でしょう?




『ごめんなさい』
「……………」



先輩達の卒業式の朝、ローを呼び出した。
告白の返事をしたものの、ローの反応がない。


恐る恐る顔を上げると少し笑っているロー


「んな事だろぉと思ってた」
『え、ロー……?』
「最初から分かってて俺も言っただけだ。気にするな」
『で、でも……』
「***も知ってんだろ?俺ぁモテんだよ。女何てすぐ出来る」
『…………………………あっそ。』


分かってる。私が気にしないようにワザとローが憎まれ口言っているのを。


『ロー…ありがとうね。気持ち、嬉しかった』
「…………………そりゃぁ、良かった」


少しビックリした表情をしたが、すぐにいつものヒニルな笑顔で笑うロー。そんな時、卒業式が始まるアナウンスが流れた。


『……じゃ、先戻るね』
「***」


立ち去ろうとするとローが声をかけてきた。


「いつでも俺ん所に来いよ」
『!!……ばーか』


私が答えると手をヒラヒラと振って笑っているロー。
ありがとう。ほんとにローの気持ちは嬉しかった。けど、気持ちに答えられなくてごめん……


1人、心の中で呟き卒業式に出た。






卒業式も終わり、教室に戻ろうとすると先輩達に囲まれているエース先生がいた。
……やっぱりモテるな…そう思い囲まれている光景なんてみたくないから教室にさっさと戻ろうと思った時、エース先生と目があった。先輩達に何か一言言ってこっちに向かってくる。


「よ!***!!」
『凄いモテモテですね』
「まーなー!♪」


こんにゃろぉ……
最後まで言ってないものの、少しながらも私の気持ちを知っているはずなのに平気で答えやがって。
少しムッとしながらエース先生を見ているとある事に気が付いた。


『エース先生スーツのボタンどうしたんですか?』


そう、スーツのボタンが全部無くなっていた。


「完売!」


ピースをして満面の笑みで言うエース先生。
ま、まじでか!今時でもそんなの欲しい人が居たのか……!


少しビックリというか引いてるというか……
そんな私にエース先生が手を差し出してきた。


「***にやるよ。お前の事だ、やらなかったら拗ねそうだしな」


差し出された手にはボタンが1つ。
…………別にいらないし………今時ボタンなんて…
そんな事を思っても、エース先生に少しでも私の事を考えて貰えてたと思うと嬉しくてにやける。



『…………先生。やっぱり憧れとかじゃなく、1人の男の人としてエース先生が好きです。』


思わず出た本音。
しまった!と思いつつ最後まで気持ちを言えた事がビックリしてエース先生を恐る恐る見ると真剣な顔をして黙りこむエース先生。


……やっぱり言わなきゃ良かった……


後悔と気まずさで、どうしようかと考えているとエース先生が口を開いた。


「***は、いい女だと思うぜ?可愛いし一緒に居て飽きねぇし。…………正直な話、鼻水と涙でグチャグチャになってたガキがここまでいい女になってるとは思わなかった。」


エース先生の“可愛い”や“いい女”という言葉に胸がドキッと弾む。エース先生に……か、可愛いとか言われちゃった……!
ニヤニヤしていると真剣な顔でこちらを見ているエース先生と目があった。


「もう最後だから言うが、お前はほんといい女になったよ」


最後………?
また遠回しにフるような言葉よりエース先生のある言葉が気になった。



『え、最後って何がです…?』
「教育実習。後3日で終わりなんだよ」


終わり?3日?
エース先生の言葉を聞いて何も言えなくなった。






- え、嘘でしょう? -




最後…居なくなる…エース先生が………?


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