▽ くまのキーホルダー
「確かに来いとしか言わなかったわよ!?」
『…………ナ、ナミさん…?』
「だからって朝からずっと保健室ってふざけてんの!***あんた!!」
『ふざけてないっす!これでも必死っす!』
昼休み、チャイムが鳴るなり保健室に入ってきて怒るナミ。
学校には行ったが、やっぱりエース先生に会うのが怖くて保健室に逃げた。
「たく………お弁当はどうするのよ。鞄の中でしょ?」
『う、うん』
「取ってきてあげるから、午後からは授業出なさいよ」
『午後ってエース先生の授業じゃん!無理!!!』
「あ?」
『いや、何でもありません…』
何かブツブツ言いながら保健室を出ていくナミ。
確かにこんな事いつまでも続けていられないのは分かっているが、体がどうしても逃げたくて仕方がない。
ため息をつくとドアが開く音。
ナミ早いな……そう思って振り替えるとエース先生だった。
「よう……」
『っ………』
挨拶をしたかと思うと椅子を持ってきて私の寝ているベットの横に座るエース先生。
気、気まずい!!!なんで横に座るの!?
1人、焦っているとエース先生が喋りかけてくれた。
「んだよ、何か拾い食いでもして腹壊したか?」
『ち、違いますよ!!』
「じゃあ、生理?」
『違います!てかそんな事女の子に聞かないで下さいよ!』
「女の子!?誰が!!?」
『私ですよ!私!』
それは悪かったな、といつも通り冗談を言いながら話してくれるエース先生。あんな冷たい目で見られたし、もう話してくれないと思っていたから少し安心した。
安心しているとエース先生が「ほれっ」と何かを投げてきた。
『………くまのキーホルダー?』
エース先生が投げてきたのは、小さな白いくまのヌイグルミのキーホルダーだった。
「あれだよ………ホワイトデー」
『…ほんとに貰っていいんですか?』
「おう!***にって思って買ってきたからよ」
『…………もっとラッピングとかして欲しかったな』
「文句あんなら没収すんぞ」
何て、お互い笑いながら喋った。
良かった……いつも通りに喋れた!安心してふふと笑って気が付いた。
『てかエース先生皆にお返し渡してるんですか?』
「……………………………いや***だけだ」
まさかの私だけと知りビックリする。
「それやるから…………授業ちゃんと出ろよ」
『………………はい…出ます』
私の言葉に満足したのか笑顔で保健室を出るエース先生。
エース先生が出ていった途端、バタリとベットに倒れ込む。
まさかの……私だけ………
キーホルダーを握って思わずニヤニヤしてしまった
- くまのキーホルダー -
エース先生もなかなかのやり手ね?
ナ、ナミ!?いつから居たの!?
え?最初からよ?(ニヤニヤ)
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