あおなぐざ | ナノ

▽ いつもと違う




『………………………………………』



スマフォの画面を見る。15:48。
朝からソワソワしながら登校してきた。何故ならホワイトデーだったから。もしかしたら…もしかしたら、エース先生からお返し貰えるかな?とか淡い期待を持ちながら来て、ただ今撃沈中。


いや、勝手に期待してただけだけどさ!少しガッカリ。はあ、とため息をついて帰る準備をしているとルフィが「***!」とよってきた。


『……………どったのルフィ…』
「何くれぇ顔してんだ?」
『ちょっとね』
「ふーん。あ、これ!」


そう言ってルフィが何か差し出してきた。


『なにこれ』
「ほわいとでーってやつだろ!?」
『ルフィがホワイトデー知ってるとは思えない…』
「おう!知らなかった!けどエースにほわいとでーってのを教えて貰った」
『は!?エース先生に!!?』


これまたいい笑顔でおう!と言うルフィ。……そう、エース先生にね………ルフィにホワイトデーを教えてるって事は今日がそうなのも分かってるよね……


まあ、あんだけ貰ってたらお返しも大変だわな…
1人で納得し、ガッカリしてルフィにお返しを受け取り下駄箱へ向かう。



「***」


誰かに名前を呼ばれ振り替えるとローが居た。


『どーしたの?』
「………これ、やる」


透明の箱にシンプルにラッピングされたそれは、私の好きな色とりどりのマカロンだった。


『うわ、これ有名な所のやつじゃん』
「女に何か渡す時はそこだと外れがねぇからな」
『…………さいですか』


これだからモテる奴は嫌だわ……
けど有名店のマカロン食べれるからラッキー!


お礼を言ってローファーに履き替える時、ローが「なあ、」と声をかけてきた。


『なに?』
「………いい加減俺の女になれよ」
『だーかーらー、そーゆー冗談はいいって』


毎度毎度軽い事言ってさ。何でこんなのがモテるんだ。あ、顔がいいからか。
ローファーに履き替え『じゃあね』と軽く手を振り帰ろうとしたら、手を掴まれた。


「………冗談じゃねぇよ」


少し悲しそうに、けど私の方をしっかり見て言うロー。


『ま、またまたー……』
「本気だつってんだろ?じゃなきゃ、クリスマスなんかに約束蹴ってお前ん所行かねぇよ。」


ハッと軽く笑いながら言ってるけど、腕を掴んでいるローの手が微かに震えてた。いつものように俺様チックに言っているけど、少しいつもと違う。


「お前が火拳屋の事好きな事ぐれぇ分かってる。けど俺が本気なのも分かっとけ」


いいな?と言うローは見たことのない笑顔だった。けど、その笑顔が無理してるように見えた。多分、私に気を使わせないように無理してるんだと思う…
ローが本気…………本気ならいつものように適当にあしらえないよね……


「そんなに考え込まなくていい。」
『で、でもさ…』
「まあ、返事は焦ってねぇから」
『………分かった』



「気を付けて帰れよ」と言って私の腕を離すロー。ローに掴まれていた所が熱い。



ど、どうしよう…………






- いつもと違う -




………先生っつぅのは盗み聞きしてもいいのか火拳屋
…んだよ、バレてたか
でけぇからすぐ分かるだろ
お前には言われたくねぇよ
……………………
……………………
***の事俺は本気だ。余裕ぶっこいてても知らねぇ
……青春してんなあ



(俺は何もできねぇよ………先生っつうはめんどくせぇな……)


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