▽ おめでとう
大晦日、部屋の掃除も終わり宿題のテキストのページを進めていく。クリスマス以来エース先生に会っていない。
クリスマスもコンビニから帰って普通に騒いで翌日起きたらエース先生は出勤した後だった。間接キスという事はあったが、ただそれだけ。嬉しかったけどエース先生はなんとも思っていないみたいだし
眼中に無いんだなって実感するほどテキストは進まない。…………後これだけだし年明けてからしようかな…そんな事を考えていると着信音が鳴る。ナミだ
「もしもし?年越しいつものメンバーで集まるけど***も来るでしょ?てか23時に近くの神社集合ね」
一方的に用件を言い切られる電話。拒否権はなしですか、ナミさん………まあ、息抜きにも丁度良いし用意でもしようかな?クローゼットを開けて服を選んだ。
約束の時間になり神社に向かった。ルフィ以外皆は案外早くにそろった。いつもならゾロが迷子になって遅れたりするのに珍しい、
『あれ?ルフィわ?』
「電話したけど“エースの誕生日を日付変わってすぐ祝うからパス”って言われたわ」
仲の良い兄弟だな…と呑気に思っていたけど途中で気づく
『え、エース先生1日誕生日なの?』
「ええ、そうみたいよ?」
寒いはずなのに冷や汗が出る。スマフォで時間を確かめると23:13。エース先生の誕生日まで後少しだ。
『ごめん!私今日パス!!』
皆の返事を聞く前に走り出す。てか好きな人の誕生日くらい調べとけよ自分!!自分の間抜けさに苛立ちながらルフィの家へ向かう。
年越しというので人も多く、こんな時に限って信号に捕まる。
あ!プレゼント!走っている途中で気付くもののこんな時間だ。開いているのはコンビニくらいで、とりあえず入る。入ったものの、ほとんど棚には商品がない状態。
『どうしよう〜(泣)』
半泣きになりつつ、デザートコーナーにあった数が少なくなっているプリンアラモードみたいなのと、エース先生が好きだと言っていたアイスを買ってまた走る。
事前に知っておけばケーキ焼くなりできてたのに!そんな後悔とはあはあと息切れをしながらルフィの家に着いた。1回深呼吸をしてスマフォを確認する。23:56、ギリギリ間に合った。
ピンポーンピンポーン
『…………(ドキドキ)』
「はーい、どちら様っすか…って***じゃねぇか。どーした?」
扉から顔を出したのはエース先生本人だった。久々のエース先生に心拍数は余計に上がる
『こっこんな時間にごめんなさい!エース先生、誕生日って聞いて……これ!!』
そう言ってコンビニの袋を渡す。あぁ、色気のないプレゼントだな……そう思ってフと袋の中身をチラって見ると走ったせいでグチャグチャのプリンアラモード。
『!!あぁ!やっぱりダメ!無しにして下さい!』
「何でだよ、俺が貰った時点で俺の物だろ?」
クリスマスに私が言った事をそのまま言うエース先生。そして袋の中身を見て顔が崩れた。
「ぶ、お前らしいなこれ」
笑顔で先生は言うけど嫌がらせでしかないよね?グチャグチャのデザート渡されるって。うつむいて居るとエース先生の手が頭に乗ったかと思うと髪の毛をくしゃくしゃにされた。
「ありがとな***。」
『いや、あの……お礼を言われる事でもないですよっ。グチャグチャだし…』
「ばーか、気持ちだよ気持ち」
恥ずかしくて声が小さくなる。けど笑顔でくしゃくしゃしてくるエース先生を見て嬉しかった。
「けどよぉ、***」
少し声のトーンが下がったのが分かった。
「お前この前から、遅い時間に1人で外出し過ぎだ。前もキッド達だったから良かったものの、ほんとにあぶねぇ奴だったり、変質者とかだったらどうしてたんだ」
先生の初めて見る怒った顔。エース先生の言う通りだ。けど少し怖くて『ごめんなさい』とさっきよりも小さな声で言うのが精一杯だった。
するとスラスラと何かを小さな紙に書いて渡される
「…ったく、次からは電話なりメールなりしてこい」
そう言って渡された紙を見るとエース先生の番号と、メールアドレスが書かれていた。
『え、これ……』
「他の奴等には内緒な?」
さっきまでの怖い顔とは違いニカッといつもの笑顔の先生
『ありがとうございます…』
さっそくスマフォに入れようとした時、日付が変わっていた
- おめでとう -
エース先生、お誕生日おめでとうございます!
おう!ありがとうな!!ニカッ
エースゥー?何してんだ?お、***じゃねぇか!どーしたんだ
ル、ルフィ!や、別に!じゃ、失礼します!!
何してたんだ?***の奴?
…………さぁな(可愛い所もあんだな)つーかあいつまた1人で!!
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