Every day with the dearest person | ナノ

▽ 貴方に近づけたかな


 
※ グロテスクな表現が少し含まれています。苦手な方はすみません。




燃えたような臭いと血の臭いが鼻につき目が覚める。そこには心配そうにしているシェリーの姿が。そうだ、シェリーやエース、マルコ達が来て……


「***!?大丈夫??」
「いったぁ…」
「そりゃそんだけ勢いよく起き上がったら傷も広がる一方だろ?」


心配というより、呆れた表情で軽く切られた所を叩いてくるイゾウに軽くガンを飛ばす。私の横を通り過ぎた“何か”はイゾウの銃弾だったのかと納得していると、ため息を付きながらイゾウが優しく撫でてくれる。


「たく……あんま心配かけんじゃねぇ」
「………ごめん」
「分かればいいんだよ」
「あー!!何やってんの?俺も***ちゃんとイチャイ「***!!!!」


イゾウの後ろから騒がしく駆け寄ってこようとしているサッチの後ろから、エースが押しのけて近づいて来る。私の傷に触れないように、優しく抱きしめてくれる。


「エース…さっきから抱きつきすぎ…」
「うっせぇ…。ほんと無茶すんな…身がもたねぇ……」
「エースもごめん…」
「わかればいいんだ。さっさとこんなとこ帰んぞ。」


エースのその言葉と一緒にシェリーが手が差し伸べてくれた。後ろでオッサン達も笑っている。釣られて私も笑いシェリーの手を取り一歩一歩、痛みを耐えながら長の家をあとにする。
ズキズキと痛む胸元を押さえながら歩いていくとモビーが見えてきた。甲板からはクルー、親父様まで出迎えてくれていた。


「グラララ!!えれぇ派手にやられたじゃねぇか」
「シェリーちゃぁん!!無事で良かったー」


それぞれ声をかけてくれ、帰ってきたんだなと実感する。
マルコ達が乗り込み私とエースが乗り込もうとした時、一瞬何か光ったように感じた。目を凝らして見てみると、エースにヤられたであろう皮膚の爛れた長がスコープを覗き込んで親父様を狙っている。その事に気がついているのは私だけのようで、誰も長の方を見ていない。私を支えてくれたエースを押しのけ走り出す。ズキズキ痛むとか真っ直ぐ走れないとか関係ない。親父様には絶対手を出させはしないっ…!!


「ガアアアアアア!!!!」
「***!?」


足にグッと力を入れ、前に飛び出すとジャガーの姿になって走っていた。叫び声を出しながらドンドン近づいて来る私に気が付いた長が、こちらに銃口を向けていたがその銃ごと口の中に入れ大きく下に振り下ろす。その瞬間、ブチリという音と共に長の叫び声が響く。


「う、腕が…!!腕があああ!!この化け猫がっ……」


噛みちぎった長の腕だったであろう肉の塊を口から吐き出し長に一歩、また一歩と近づく。その度に長が私から離れようと後退りするが、ジャガーと人間だ。直ぐに差なんてなくなり、長を私が見下ろすかたちになった。
怯えた目でこちらを見てくる長に、自分の牙を見せ唸る。



「化け猫で結構。大切な人を守れるなら化け猫でも飼い猫にでもなってやる。だけど白ひげ海賊団の皆に手を出すのなら、それなりに覚悟しな。今度はその体化け猫らしく食ってやる」
「ひっ…!」


私の言葉にビビったようで森の中へ逃げていく。
長の姿が見えなくなった事を確認し、人間の姿に戻る。フと横を見ると、さっき自分が噛みちぎった物。口の周りにはベットリとついた血。その血をゴシゴシと擦るが綺麗に消える事はない。


それと同時に私が人を傷付けたという事も消える訳でもない。
今更ながら、自分のした事の恐ろしさに震えだす。さっきまでの光景を見ていたエース達の方が怖くて見えない。こっちの人間になると決めたんだ。いつかこんな日は来ると思っていたが、いざとなると怖いのと後悔で涙が溢れそうになる。


「***……」
「………」
「大丈夫か?」


エースの駆け寄って来ているだろう足音が。足音が私のすぐ後ろまで近づき、音が止まる。肩に気配を感じ思わず払い振り返ると、やはりエースだった。払った手も直ぐにエースに取られ引き寄せられる。離れようにも、しっかりと抱き締められていて離れそうにない。


「離っ…離して…」
「離さねぇ。ぜってぇ離さねぇ」
「ごめん……ほんと今は…」
「***はなんも悪い事はしてねぇ!!!」


その場の皆に聞こえる程の大声で叫びだすエースにビックリして抵抗するのをやめてしまった。バッチリとエースと目が合い、そこで気が付いた。エースも泣きそうになっていた。


「確かに!***が住んでいた世界では人を殺すのは勿論、人を傷付ける事はいけねぇ事かもしれねぇ!だが、ここでは仲間守る為には仕方がねぇ時もある!!……それに仲間の為にこんなに傷だらけになってる自分を責めんな。」
「……でも、」
「でももクソもあっか!言い方はひでぇが、いちいち気にしてたらこんな世界ではやってけねぇ。腹くくれ。それに………」


さっきまで泣きそうになっていた筈のエースが、いつの間にか笑顔になっていて親指でモビーの方を指していた。
視線をそっちに向けると笑顔で手を振っているクルー達の姿が。


「***の事を悪く言う奴はこの白ひげ海賊団が黙ってねぇよ!な、おめぇ等!!」
「そうだぞー!!!」
「立派な犯罪者になりやがったなー!」
「イチャついてんなよー!!!!」


人の気も知らないで、呑気な事を叫んでるクルー達を見て何だかバカらしくなってきた。そんな私に気が付いたのか、エースがモビーの方へ引っ張ってくれた。
やっぱりエースの背中は大きくて頼りがいがあるな……





- 貴方に近づけたかな -





て、エース痛い!!あんまり引っ張らないで!!
わりぃ!!大丈夫か!?




……たく、普通の女の子がそう簡単に割り切れる訳ないのに…
まあ、それはあいつ等がどうにかするだろ。それに…あいつ等はああやって騒いでるのがお似合いだよい。
ふふ……マルコ隊長あの子達の事大好きなのね


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