Every day with the dearest person | ナノ

▽ 覚悟を決める


 

結局、船を出る時もエースは見送りには居なかった。普段なら、どこか出かけるだけでも駄々をこねるエースが居ない。皆も触れていいのか分からないという雰囲気。
皆に気を使わせてるな…。申し訳なくなり、シェリーに声を掛けそそくさとモビーから出た。


目的の島の近くまで乗せてくれたモビーも怪しまれるといけないから、直ぐに遠くに行ってしまった。
ユラユラと揺れる船に身を任せ目を閉じる。目を閉じ思い浮かぶのは怒ったエースの顔。拗ねてると言うより本気で怒ってる顔をしていた。



……私間違った事言ってないよね…?


ため息を付いているとコツンと頭を叩かれた。勿論この小さな船に乗っているのは私とシェリーだけだ。だから誰かしたかなんて直ぐに分かる。


「気持ちは分からなくないけど…気を入れ替えないと失敗するわよ…」
「……ごめん…。」
「分かればいいのよ…。そろそろ島につくから軽く変装しましょ」


シェリーに言われ髪の毛をおろし、化粧を少し濃い目にしなおす。
これも一応、マルコからの指示だ。一応賞金首だからだと。こんなの誤魔化せれるのか不安だけど。島の端に船を止め、村の中へと入っていく。
噂通りというか…本当に女だけ。男の姿が見えない……。不気味に思いながら長を探す。だが、探さなくても良さそうだ。何故なら美人さん達に囲まれていたから。


「見かけない顔ですが…」
「すみません…海賊船から逃げてきたんです…私達…。」
「まあ…それは大変でしたね…お怪我とかはありませんか?」
「大丈夫です。お気遣いありがとうございます…」


シェリーがスラスラと話し、女達の警戒をといていく。流石と言うべきだな、そう関心をしているとどうやら長の元へと案内してくれるみたいだ。
女達の後を追いながら歩いていると、少し古い家に案内された。古いと言っても他の家に比べれば大きく、まだ綺麗な方か……。
そんな事を考えながら家の中へ案内されるがまま、入っていく。するとある部屋の前で女達が足を止めた。


「こちらが我が村の長の部屋です。どんな理由であれ、挨拶して貰うのが決まりですので…」
「分かりました。…失礼します」


シェリーの後に続いて部屋に入ると、そこに居る男は極普通の男だった。
こんな人が本当に噂通りの事をするのか不思議に思っていると「どうぞ」と目の前に腰掛けるように言われシェリーと2人一緒に座る。


「村の者に聞きました。大変だったでしょう。ゆっくりしていって下さい」
「ありがとうございます」
「……あの、」


私だってやれる。頑張ってこれ終わらせてエースに認めてもらうんだ。ちゃんと私も戦えるって。私だってちゃんと白ひげのクルーなんだって胸張って言うんだ。
そう覚悟を決め、私は口を開いた。その言葉にシェリーは驚いていたけど、何も言わず私の話に合わせてくれた。



「この村の住人にして貰えませんか…?もう海は怖くて……。ご迷惑なのは分かっています。ダメでしょうか…?」



私の言葉に長は少し嫌な笑みを浮かべていたが、快く私達を受け入れてくれた








- 覚悟を決める -






勝手な事言ってごめんね、シェリー…
大丈夫よ、その方が色々探りやすくなりそうだものね
ありがとう…。じゃあ、気合入れて探ろうか!!


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