▽ 涙を拭いてくれたのは誰?
「ご馳走様でした」
お粥をペロリと全て食べた。
それは黙々と食べたからね。もう味うとか全くしなかったからね!!だって…何も考えたく無かったから。
ここ最近、明らかにエースの様子がおかしい。
自分で言うのもあれだが、私達は仲は良かったと思う。喧嘩もしなかったし。
だから余計に何で様子がおかしいのか分からない。
て言うか……好きな人に冷たくされるのは、なかなかキツイな…
今までの優しいエースを思い出すと涙が零れそうになるのをゴシゴシと擦り顔をパンパンと軽く叩いて気合いを入れた。
シェリーの部屋から出て来たのも、たまたまエースがシェリーが具合悪いのを知ってお見舞いに来てただけだよ。仲間思いのエースの事だ、きっとそうだよ!
1人で勝手にそう思い込み、食器を片付ける為に食堂へと向かった。エースやシェリーに会っても普段通りにしないと。
何で人間ってタイミングが悪い時ってとことん悪いんだろう。普段通りにしないとって決めた途端にエースとシェリーが一緒に居る所を見付けてしまった。
「タイミング悪……」
2人は何やら話している様子。
シェリーが何か言った時、エースがドンッとシェリーを壁際へと追い込んで顔と顔がくっ付きそうなほどの至近距離で何か言っている。
最初はビックリした様子のシェリーだったが、何か決意した顔をしたかと思うと、目を閉じて顔をエースの顔へと近付けようとしていた。
やだっ………エースとキスしないでっ…!!
「いやっ……!!」
やっとの思いで出た声も自分が思っていたより小さく弱々しかった。けどそんな事気にしている余裕なんて無くて夢中でエースとシェリーの間へ割り込んだ。
「お願いっ……私からエース取らないでっ……!」
カッコ悪いだとか、エースの態度が冷たかったとか、そんなの関係ない。もうこれ以上エースが他の人と一緒に居る所を……ましてやキスしようとしてある所なんて見たくない…
我慢していたはずの涙も、簡単に溢れ止まらなくなる。ポロポロと零れる涙をエースが指で拭いてくれた。
「ごめんなさい…傷付けちゃったわね……」
そう言って頭を撫でてくれるエース……エース…?
目の前に居るのはエースの筈なのに、エースが喋ったとは思えない。けど目の前にはエース。
1人混乱していると「いい加減***から離れろよ」と不機嫌そうなシェリーの姿。
「え…?どういう事……?」
一体何が起こっているの…??
- 涙を拭いてくれたのは誰? -
(え?理解出来ないんだけど…)
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