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▽ キッドが逆トリップ






「こぉぉぉぉらっ!起きろ馬鹿息子ぉぉぉ」


掛布団を勢いよく剥ぐ。すると不機嫌そうな赤頭。


「朝っぱらからうるせぇよ」
「あぁ"?お母様に楯突こうって言うの?」
「母親じゃねぇだろ」
「うるさいっ!助けてもらってるんだから今日もしっかり働けっ!働かざる者食うべからずっ!!」
「………へいへい」


私の言葉に嫌々起き上がるこの男。何でも海賊団の船長らしい。私の店の前で倒れていたのを助けのはいいんだけど態度が悪くて悪くて。


おめぇ俺を知らねぇのか?
ああ"?俺に指図すんじゃねぇ。殺すぞ女


って言われてプツンと頭の中で何かが切れた私は、この赤頭もといキッドに回し蹴りをしてやった。


「お前何か知るかボケ!怪我してんだから大人しく人の言う事聞けっ!頭刈り上げんぞ!!あぁ"?」


私の行動と言葉にビックリしたのか大人しくなったキッド。それからは嫌々ながらも私の言う事を聞いてくれるようになった。


「つーかよ、ほんと儲かってんのか?この店」
「…うるさい。いいからキャベツ千切りして」


そう、私の店は小さなレストラン。ほんと小さいから従業員は私だけ。親が事故で死んでしまって後を受け継いだ。お客は親がしていた頃からの常連さんが殆ど。たまに新客が来るくらい。


………………ハッキリ言うと儲かっていない。
3ヶ月前くらいに近くに大きいレストランが出来た。今時のお洒落なレストラン。新客はそっちに取られてばっか。
まあ、楽しいからいいんだけどね。


カランカラン


「いらっしゃい」
「***ちゃん今日もオムライスで頼むよ……ってあれ?いつのまに彼氏なんて出来たの?」
「か、彼氏!?」
「そう、そのおっきい子!***ちゃん逞しい子が好きだたったんだねぇ」
「え、ちがっ……!」


常連のおじさんの言葉に焦る私と固まるキッド。
お前も否定しろよ!って思いつつオムライスを作っていると、おじさんがキッドと話してるみたいだ。何話してんだろ?


「はい、おじさん。オムライス。」
「ありがとう!***ちゃんのオムライス好きなんだよ」
「てかおじさん、キッドと何話してたの?」
「内緒ー☆」


このっ……いい歳したおっさんが☆とか使うな!☆とか!!キッドの方を見ると少し顔が赤かった。なにあれ、気持ち悪っ。そんな事を思っていると、また扉が開く音がした。


カランカラン


「いらっしゃ………げ」
「やあ、***さん!今日も綺麗だね!」


登場一発目がこんな気持ち悪い事を言うのは、さっき言ってた大きいレストランのオーナー。見た目からしてもキザみたいな感じで、受け付けない。男らしい人がいいのよ、私。
けど何故か気に入られた私は何度もこうやって嫌がらせに近いアプローチをされる。


「いい加減、僕の彼女にならないかい?誰よりも君を幸せにするよ…」


ドヤ顔でいうこの男に寒気がして何も言えない。すると男がキッドに気が付いたようだ。


「僕という者がいながら、こいつは何だい***さん!?」
「…………………同居人です」
「どうっ…………!!あぁ、分かった。脅されてるんだね?」
「「「は?」」」


思わず私、キッド、おじさんの声がハモった。何言ってんだ、こいつ。


「見るからにして狂暴そうだ!大丈夫!僕が助けてあげるから!やっぱりこんな所辞めて僕の所においで」


そう言って私の手を取って連れだそうしだした。
きっしょく悪ぃぃぃぃぃぃぃ!!やっぱりこいつ無理!
手を振り払おうとした時、パンッと痛そうな音がした。


「おい…………こいつが嫌がってんのが分かんねぇのか」


それまで殆ど喋っていなかったキッドが凄い剣幕で話す。つーか………デカイから迫力が凄い………


「そ、そうやって***さんを脅しているんだろ?ぼ、僕は分かる!」
「何が分かるっつうんだよ、あぁ"?」
「……………(ガクガク)きょ、今日はとりあえず帰ってやるけど、覚悟しとけよっ!」


訳の分からない事を言って出ていく男。「ハッ、弱ぇな」と、少し勝ち誇った顔のキッド。


「うん、やっぱりこの子***ちゃんにぴったりだよ」
「いや、どの辺が!?」
「おい、ジジィ。てめぇ下れねぇ事ばっか言ってると殺「常連さんにジジィとは何だボケ!謝りなさい!!」おめぇもいい加減にしねぇと…」
「何よ?居候がえらそうに!」
「こんのっ………」


私とキッドの言い合いを笑いながら見ているおじさん。


「***ちゃんの事、守ってあげてよ」



おじさんの言葉に、私とキッドは顔が真っ赤だった。





もしキッドが逆トリップしてきた場合
→ 何だかフラグがたちそうです



だ、誰がこんな暴力女っ………!
私の何処が暴力女だ!こら!あぁん?か弱さの塊だろうが!!
か弱い女はそんな言葉使いじゃねぇよ!!










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