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▽ 無自覚と天然








私の幼馴染みはタラシだ。しかもタチの悪い“天然”タラシだ。





「ル、ルフィくんどぉ?美味しいかな?」
「バリ、ボキ、おう!うめぇぞ!」
「良かったぁ!ルフィくんに食べて欲しくて実習頑張ったんだあ。また実習の時あげるね?」
「おっ!また食いもんくれんのか!おめぇいい奴だな!」



シシシと笑うルフィを見て満足したのか去っていく女の子。あの子に一言言ってあげたい。「食べ物をくれる人でインプットされてますよ」と。後、今日実習で作ったのはカップケーキだよね?何、あの音…。おぉっと一言じゃなくなっていた……。



ルフィは何であの子が実習で作った物をわざわざ渡して来たか分かっていない。無邪気で素直な性格。見た目も可愛らしくてモテる。そして食べ物だと何でも「うめぇ」と言って食べてくれるルフィに何人も恋をしている事も。しかも狙って言っているのではなく、無自覚。
味覚大丈夫なの?と心配になるくらいルフィは何でも美味しいと言う。



………まあ、無自覚で女の子を落としているこの天然タラシに私は惚れている訳で……。ただでさえ女の子に普段からお菓子とか貰っているのに、実習後は特貰う。今も机にはカップケーキの山。



幸せそうに食べるルフィを見て「可愛いなあ」って思う私もなかなか重症だな。
まあ、他の子から貰った物を食べてるのは凄く気に入らないけど。こんな事ルフィに言っても分かってくれないんだろうなあ



そんな事を思いつつ私もルフィに渡そうかと思っていたカップケーキを机に隠す。どうせ私のも他の子と同じ扱いなんだろうなあ…
はぁとため息をついてルフィを見ると目がルフィがこちらに手を出している。



「え、何?」
「***も作ったんじゃねぇのか!?くれ!」
「…………そんだけ貰えてたらいらないでしょ。それにエースにさっきくれって言われたし…」
「***エースに会ったのか!?」
「まあ、うん…(まあ、断ったんだけどね)」



そう言うと頬を膨らますルフィ。あ、拗ねた。ルフィは昔から拗ねると頬を膨らます。思わず指で膨れた所を押すとルフィの口から空気の抜ける音がする。


「いやだ。***の作ったの俺食いてぇ」



真っ直ぐ見て言われるのでドキッとする。隠したカップケーキを机から出してルフィに渡す。



「ニシシ、***が作るやつが一番うめぇんだよな!」



笑顔で言うルフィに「ルフィに味の違いわかるの?」と聞くと「あたりめぇだ!」と怒られた。



「好きな女が作ったのが一番うめぇ!」
「え、す、好きな女?」
「おう!俺は昔から***が好きだぞ?」



まさかのルフィからの告白に恥ずかしくて下を向いていると「どうした、***?」とルフィのドアップ。


「そ、それ友達ってとかのオチでしょっ?」
「んーちげぇかなあ。***がエースにそれやるって聞いたら俺嫌だったし!それに***のが一番うめぇ!!」



………何かルフィ自身あまり分かってなくない?こんな時も食べ物基準のルフィ。まあ、そんな所も可愛く見えるのが惚れている弱味で………



「じゃあ、これから作ったらあげるけど………他の子に貰って欲しくない……」


ルフィ嫌がるかなって思ったら笑顔で「分かった」って言うもんだから、私もつられて笑った。




- 無自覚と天然 -



お、***ー!やっぱり俺にケーキくれよ!
ダメだぞ!エース!!***のはやらねぇぞ!
………ふーん。ニタニタ
(は、恥ずかしい!!)





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