▽ ミルフィーユ
「はい、***ちゃん。***ちゃんの大好きなミルフィーユ」
「わぁぁぁ!サンジくん、ありがとう!」
サンジくんの作る料理はほんと美味しい。凄く幸せな気分になる。…………まあ、好きな人の手料理だからってのも少しあるけど。
私が麦わら海賊団に入ったのは半年くらい前だ。ルフィに「冒険は楽しいから***も来いよ!」って言われて思わず来たものの不安が多かった。私はこの海賊団の足手まといに、なるんじゃないかとか………。そんな時に一番優しくしてくれたのはサンジくんだった。
女好きってのもあったけど、それでも私が他のクルー達に慣れるまで優しくしてくれた。徐々にクルー達にも慣れてきたものの、少しの時間があるとサンジくんがいるキッチンに入り浸ってしまう。
少しでも側に居たい。邪魔はしたくないものの側に居たい。私はナミやロビンみたいにスタイルも頭も見た目も良くないから、これ以上の事は望んでないはずだった。私には不釣り合いだからって。だけど最近じゃ、少しでも近付きたいという気持ちが日に日に強くなってゆく。少しずつ欲張りになってゆく。
「はあ……」
「ん?どうしたの***ちゃん?」
「え、あ、何でもないよ!?」
いけない、いけない。今、サンジくんと居るんだった。折角の時間が勿体ない!!そう思っていると甲板の方から元気な足音が。
「サンジ!!すんげぇうまそうな匂いがする!!」
扉を開けると同時に叫ぶルフィ。ルフィを見てため息をするサンジくん。ルフィの食べ物に関する嗅覚はほんとに凄いからなあ。
「お、うまそうな物食ってんじゃねぇか!一口くれよ***」
そう言って私のフォークごとミルフィーユを食べるルフィ。あールフィの場合一口で終わらないんだよなあ。なんだかんだで全部食べられるのがオチだ。
そう思っているとサンジくんの蹴りがルフィに入る。………結構凄い音したけど大丈夫かな?
「いってぇな、サンジ!!いきなり何すんだ!」
「うっせぇぞ。クソゴム!メシ抜きにすんぞ!!」
あ、ゴムだからそんなに効いてないのかな?てかサンジくんもミルフィーユくらいでそんなに怒らなくても……
「あのぉ、サンジくん?私別に大丈夫だよ?折角作って貰ったのにこんな事言うのもあれだけど…」
「…………***ちゃんが言うならいいけど…」
そう言うと、さっきまでこっちを見てニコニコしてくれてたサンジくんがプイッと後ろを見てしまった。
あれ?私生意気な事言った?いつもサンジくんと2人でも、こんな気まずい雰囲気になった事ないのに何か今気まずいぞ………
サンジくんもルフィにミルフィーユを渡して「これやるから、ちっと外に出てろ」って言ってるし……
やっぱり折角作って貰ったのにあんな生意気な事言ったから!?
慌ててサンジくんに弁解をしようと声を出そうとした時、サンジくんがいきなりこっちを見た。
「……ごめん、***ちゃん。クソゴムに嫉妬した」
「え?」
そう言うと、私の横に座るサンジくん。サンジくんが近くに居てドキドキして、さっきまで気まずい雰囲気だったのが嘘みたいだ。するといきなり私の手を握ってきたかと思うと、私の手の甲にキスをする。いきなりの事にビックリしているとサンジくんが耳を真っ赤にして言う。
「***ちゃんと間接キスしたルフィに腹が立って。しかも***ちゃん気にしてないみたいだったし……」
サンジくんの言葉にドキドキする。サンジくんの唇がに触れている甲が熱い。多分私、今顔真っ赤だ。
「あっあのねサンジくん!私、サンジくんの事がっ」
その先を言おうとするとサンジくんに人差し指でシーって止められた。
「ごめん、***ちゃん。俺に言わして?
すげぇ好きなんだ。あんな事で嫉妬してしまうぐらい…俺と付き合ってくれない?」
いつも女の人に接している時みたいではなく、真剣に言うサンジくん。私の答えは勿論決まっている。
サンジくんの手を握り、真っ直ぐサンジくんを見る。
「わ、私で良かったらお願いします………」
言ったのと同時に引き寄せられる。
「俺は***ちゃんがいいんだよ」
サンジくんの言葉に思わず嬉しくて涙が出るとサンジくんは笑っていた。
- ミルフィーユ -
***ちゃん、ミルフィーユの味がして美味しいね
(な、何かサンジくんが言うと色気が…////)
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