ACE | ナノ

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私には兄が居る。
優しくて強くて皆から好かれるような人だ。
2年前、兄と私は海軍に入った。支部は違ったがお互いに連絡を頻繁に取り、こんな訓練をしたとか今日は海賊船を落としたとか話していた。


けど1年前、兄が大ケガをした。
その頃、私はインペルダウンに配属され、兄は階級は上ではなかったものの戦いの最前線で戦っていた。
もう海兵は出来ない程の負傷をし、海軍を去らざるおえなくなった。私は兄にそんな大ケガをさせた海賊を憎んでいた。いつか首を取ろうと1日たりとも、その海賊の事を考えない日はなかった。


「ポートガス・D・エース」


そう言ってサディさんが無造作に書類を渡してくる。


「今日このインペルダルンに来るわ」
「!!ほんとですか!?サディさん!」
「 ん〜〜〜〜〜〜サディちゃんって呼びって言ってるでしょ!」


鞭で叩かれるのを何とか交わし、サディさんがくれた資料を見る。ずっと憎んでいた海賊、ポートガス・D・エース。そう、兄に大きな怪我をさせて張本人だ。


「あんた、そいつの事いつも言ってたでしょ?ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜良かったわね、お兄さんの仇取れるじゃない」
「…………まあ、私がこいつを殺せないのは悔しいけど…」
「ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜我が儘言うんじゃないわよ!ここに来たからにはそいつは終わりよ」
「………そうですよね。」
「貴女がそいつの居る牢獄の担当よ。好きにすればいいわ」
「あ、ありがとうございます!」


ドミノさんとサディさんの配慮だろう。
私がいつも許せないと言っていたから、マゼランさんに言ってくれたんだろうな。感謝をしつつポートガス・D・エースがいる牢獄へ向かう事にする。


「あ、そうそう。ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜その牢獄にはもう1人居るから、そいつも頼むわ」
「分かりました。とりあえず様子を見てきます」







「嘘でしょ……」


牢獄を見てビックリした。だって……あの七武海のジンベエも居るのだもの。


呆然としているとジンベエが私に気が付いたみたいだ。


「お前さん何じゃ」
「こ、この牢獄の担当の者よ」


ジンベエの迫力に押されながらも答える。最初にビビったりすると馬鹿にされるから。
ジンベエの横を見てみると、ずっと憎んでた相手が。


「えれぇわけぇのが担当なんだな」
「………………うるさい。私語は慎みなさい」


そう、ポートガス・D・エースだ。
全身血まみれで捕まってる奴を見てザマーミロと思った。


「ポートガス・D・エース。貴方の処刑は10日後よ。それまでここで今までの人生を反省してなさい。」
「つれねぇな。俺ぁ反省するような事はねぇ。だから話し相手くれぇなってくれてもいいだろ?人生の最後をこんなオッサンと過ごすんだぜ?少しは華がねぇと」
「失礼じゃぞ、エースさん。」
「わりぃ、わりぃ」


この2人自分の情況分かってるの……!?
ヘラヘラと笑って………怒りしか込み上げてこない。


「産まれてきた事を反省してれば」
「……うるせぇよ」


少し大人しくなった奴を横目にその日は牢獄から離れた。


あんなヘラヘラした奴に兄は海兵の道を閉ざされたのかと思うと悔しくて仕方がなかった。

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