▽ 貴方の手口
自分の仕事も終わったし、こっそり彼氏の部屋に行って驚かせようと思った。彼氏の部屋につくと中から楽しそうな彼氏と女の声。
「ん、もっと優しくしてぇ…?」
「ほんとはっ………痛いのが気持ちいいんだろっ…?」
なんて聞こえたけど、「よくあるマッサージしてました!」って落ちでしょ!?って思いドアをバーンと開けた。
するとビクビクと痙攣を起こしている裸の女と、そんな女に覆い被さる彼氏。
「え、***!?」
「うそ、彼女!?」
慌ててシーツで体を隠す女に、慌てる彼氏。
「……………」
「***…?これは…その……」
なんて彼氏が何か言おうとしていたが、頬を思いっきり叩いて部屋を出ていった。
「ブッ……お前つぇーな!」
「笑わないでくれる?これでも傷付いてるんだから」
甲板まで走り泣きそうになっているのを我慢していると後ろから「どーした?」ってエースの間抜けな声。さっきあった事を話すと笑いを堪えている様子。
「ヒー、笑った笑った。だからあいつは辞めとけつっただろ?」
「だって凄い優しかったもん」
「それが手口だって何回も言ったじゃねぇか」
うるさいと言うと頭をポンポンと軽く叩いてくるエース
「だから***は俺にしとけって事なんだろ?」
「…………エースのその言葉のが何かの手口でしょ」
こんなやり取りをして居ると何だか視線を感じ、フと視線を感じる方を見ると彼氏だった男がこっちを見ていた。
「……………」
「どーした?***?……あぁ」
エースも私が見ていた先に気が付いて納得した様子で黙る。すると元彼がハッて軽く笑ってきた。
「なんだよ……お前もじゃん」
「…………は?」
「お前も………隊長と俺とで二股だろ?」
「どこをどう見たらそうなる訳?」
「隊長と仲良く話してるし……今も頭触られてたじゃねぇか」
何言ってるんだ、こいつ……思わず言葉が失う。
けどそんなの関係なしに元彼が話を進める。
「じゃあさ、今回はお互い様って事でさ?とりあえず今から俺の部屋こいよ」
「ちょっとほんとに何言ってんの?私とエースはそんな関係じゃないし」
「いいって。俺も気にしねぇしさ」
そう言って私の腕を付かんで歩こうとする手を振り払う。
「誰があんな所行くと思ってんの?気持ち悪い…」
あんなに私の事を「好きだ」と言ってくれたベットで平気で他の女を抱いてさ。
けど私の態度と言葉に腹が立ったのか元彼の顔付きが変わった。
「俺だってお前みてぇな暴力女願い下げだわ。さっきのナースのが色気もあるし体の相性も良かったしよ!」
“相性”って言葉にさっきの生々しい行為を思い出すと、涙がこぼれそうになる。
けど泣かない…こんな奴に傷付いてたとか知られたくない…
グッと歯を食いしばっていると、それまで黙っていたエースが口を開いた。
「おい、お前いい加減にしろよ」
「………隊長には関係ないじゃないッスか…」
「それが関係あるんだよなー」
笑いながら元彼に近付きピッタリとくっついて見下ろす……というか睨み付けるエース。
「お前のせいで全く***が俺のもんにならねぇんだよ。さっさと別れろつったのに言う事聞かねぇしよぉ……」
「そ、そんなの知らねぇッスよ…!てか隊長もこいつなんか辞めといた方がいいッスよ?暴力女だし色気もテクもねぇ「おい」
笑いながら私を見て言う元彼にエースの低い声が重なる。
「お前、好きだった奴の悪口がよく言えるな?大体、お前みてぇな奴に***は勿体ねぇんだよ。今後***に近付いてみろ…燃やすぞ」
エースがそう言うと腰を抜かしたのか座り込む元彼。
「お前より俺のが***の事を幸せにできっから、安心してそのナースと仲良くしてろよ」
私の手を取り歩いていくエース。
「エ、エース…?」
「あ?どーした?」
「いや、その……ありがと…」
「別に礼言われる事してねぇし!」
そう言うエースの顔はいつもの笑顔に戻っていた。
「やっぱり俺にしとけって事だな!」
「………………………そうだね」
私がそう答えると一瞬ビックリした顔をしたが、嬉しそうにエースが笑っていた。
- 貴方の手口 -
しょーがないから、エースの手口にのってあげるよ
手口ってなー……ま、やっと***が俺のもんになったからいいけどな!
………てか、私も切り替え早すぎ…?
んな事ねぇ!んな事ねぇ!さっさと俺のになっとけ!
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