ACE | ナノ


▽ アピール



「お、この前***が見てぇって言ってたアニメ今日あるじゃねぇか」
「………………そうだね」
「この辺りとりあえず借りようぜ!」
「…………そうだね」
「後は適当に映画でも借りとくか」
「うん…………てかさ、エース」
「んだよ」
「ここ外なんだけど」


知ってるけど?と、平然に言うエース。
問題なのは言ってる場所と格好だ。私を後ろから抱き締め、私の肩に顔を起き喋っている。


「……恥ずかしいんだけど」
「気にすんな」
「いや、気になるし。バカップルじゃん、これ」
「良いじゃねぇか、バカップル」


良くないよ。こんな地元のレンタル店なんて、絶対知り合い居るって!
実際、こんな光景を友達に見られてたみたいで「***達ってほんとラブラブだよねー」って少し笑われながら言われた。


確かに私だってエースに抱き締められるのは好きだし、………こーゆーバカップルみたいにイチャつくのも嫌いではない。………けど少しは考えて欲しいのよ!場所とか!場所とか!場所とかさ!


「あーもうっ!恥ずかしいから離れて!早くDVD借りて帰ろ」


私がエースから離れ、そう言うと不満げなご様子。やれやれと思いつつエースの手に自分の手をかせねて所謂“恋人繋ぎ”っていうのをすると、少しご機嫌になるエース。


………甘えてくれるのは可愛いんだけどね…


ぶんぶんと腕を振りながら歩き出すエースを見てクスクス笑っていると、いきなり頬にチュッと可愛いらしいリップ音が。


「何1人でニヤニヤしてんだよ」
「べ、別にっ!てか外でこんな事しないで!」
「ニヤニヤ1人で笑ってた罰だ」
「………なにそれ」


それから下らない話をしながら、エースのマンションへ帰る。私はとりあえずコーヒーをいれて、エースは部屋に入るなりさっき借りたDVDを漁り、どれから見るか悩んでる。


ま、まあ、部屋ならどんだけでも甘えてこられてもいいんだけどな…
なんて、考えつつエースが選んだDVDを見始める。が、スマフォを弄りつつアニメを見て笑っているエース。………あれ?さっきまであんなにくっついてきたのに、今は全くなんですけど……


さっきまで甘えられてたせいか、何だか寂しく感じる。思わず、「エース」と袖を掴みエースに目で訴えてみる。


「ん?どーした?」
「え、いや………」
「変な***ー」


とか言って笑っている。…あれ?もしかして私がさっき、あんなに言ったから遠慮してる?……エ、エースに限ってそんな事はないか……え、でもなんで??


アニメなんて見ている余裕もなく、頭の中で「なんで?」って単語がグルグル回る。
どんなに考えても全く思い付かない。でも気になる。痺れを切らしてまた「エース」と呼んでしまった。


「ん?どーした?…これつまんねぇか?」
「え!面白いよ!?」
「じゃあ、どーした?腹減ったか?」
「いや、すいてないけど……何て言うか……」
「?」


ゴニョゴニョと言葉を濁しながら思わず黙ってしまう。ハッキリ言わないとエースは伝わらないのは分かっているけど、さっき「離れて」と言った手前「くっつきたい」とか言いにくいのが本音。


覚悟を決め「あのさ、」と声をかける。


「何で…外ではくっついてきたのに、部屋入るなり全くなの……」
「……………………………へ?」
「べ、別に寂しいって訳でもないよ?けど、………あの、何て言うかな…その……」


何か改めて言うと恥ずかしい…!ジーっとエースが見てくるせいか、恥ずかしさが増して顔が熱い。
すると私が何が言いたいのか分かったのか、エースがニヤニヤしながら私の後ろに周り、また後ろから抱き締める形で座り直した。


「どーしたんだよ、***。寂しくなった?(ニヤニヤ)」
「……そ、そうよ!ダメなの!!?」


少しヤケになりつつも答えると「作戦成功だな」なんて、嬉しそうに言っている。


「作戦?なにそれ…」
「押してもダメなら引いてみろ作戦!ガンガン、イチャつきに行って怒られたら離れる!すると寂しくなるかなーってな」


………見事にそんな作戦に引っ掛かった…。何か一気に気が抜け「はあ…」とため息をつくと、抱き締める力がギュッと少し強くなる。


「ま、冗談だけどな!んなもん、虫除けだ。あんだけくっついとけば、他の野郎も***に近付こうと思わねぇだろ?***は俺のだっつーアピール」
「なっ……!」


恥ずかしいけど、何だか少し嬉しかったのは内緒






- アピール -



後、***の反応が可愛くておもしれー
……うるさい。恥ずかしいんだからね


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