ACE | ナノ

▽ 少しは誉めなさいよ



「ちょっ…イゾウ待って……」
「お前さんがしてぇつったんだろ?我慢しな」
「そう……だけどさっ…、思ったより…きつい…」
「慣れたら大丈夫だ」


ニヤリと笑い、手に持っている布を引っ張るイゾウ。


「ちょ、出る!内臓さんがこんにちわーする!」
「***はおおけざすぎんだ、よっと」


ぎゅーうっと容赦なしに締め付けるイゾウ。
くそう、数分前の自分を殴りたくなる。イゾウにワノ国の話を聞いていて出てきた“浴衣”というもの。興味本意で「着てみたいなあ」って言ったら、この状況。


「うげぇぇぇぇぇ」
「ワノ国の女共は、そんな色気のねぇ声は出さねぇよ」


容赦なく私を締め上げていくイゾウ。あ、この表現卑猥かしら?とか思っていると、着付けが終わったみたいだ。



「苦しいけど……浴衣可愛い…!」
「髪も結ってやるから、ちょっと待ってな?***の可愛さを引き立てる髪飾り持ってくる」


初めての浴衣に感動しているとイゾウがサラリとキザな事を言った。ワノ国の男はあんな事言えるのだろうか。いやらしさとか感じさせずに。
疑問に思っていると後ろから「お、」と少し間抜けな声。


「お!エースとマルコじゃん」
「そりゃあ、“浴衣”ってやつかい?」
「そ!イゾウに着せて貰った」
「ぷ、イゾウのが色気あんじゃね?」


笑いながら言うエースを軽く睨んでいるとイゾウが、椅子を持って戻ってきた。


「***、浅く座れよ」
「うーす!」


イゾウに言われた通りに浅目に座ると丁寧に櫛で髪の毛をとかしてくれた。


「どうだ?可愛いくなっただろ?***」
「ああ、浴衣の色がいいよい」
「マルコ、それ浴衣しか褒めてないよね?私の感想はないの?」
「ま、所詮***だしなー」


ヒヒと笑っている半裸に「ばーか」って文句を言っているとイゾウが笑っていた。


「まあ、そう言ってられるのは今のうちだけだぞ、エース。***の可愛いさを目の当たりにして、そんな事お前さん言えねぇぞ」
「………でも***だしな」
「それどういう意味よ」


本気で殴ってやろうかと決意した時「出来たぞ」とイゾウの声と差し出される手鏡。
鏡を見てみると普段とは全く違う髪型の自分。


「わ、すごーい!」
「***は可愛いから、髪飾りもシンプルので上等だ。」
「ほ、ほんと?」
「ああ。可愛いさが増したな」


ニコリと笑うイゾウを見て少し照れつつも、つられて笑うとマルコが「ほう」と私をまじまじ見てくる。


「ほんと髪型可愛くなったよい」
「だから、マルコ。私自身も少しは誉めなさいよ」


すると急に黙り出したエース。


「なによ、エース。また笑うの」
「……………あ?ああ、…まあ、その、なんだ。馬子にも衣装ってやつだな」


決めた。絶対殴る。
嫌味ばかり言うエースに一発殴ってやろうかとした時、馴れない下駄に足が躓き、エースに支えてもらう体制になる。


「つ、ごめん、エー…ス?」


ふと顔を上げてエースの顔を見ると真っ赤にしている。なんだ!?熱?………まあ、炎人間には関係ないか…?どうしたんだろう、と不思議に思っているとハッとした表情になるエース。


「き、気を付けろ馬鹿***!んな似合いもしねぇのに、そんなもん着てるから転けんだよ!」
「あんたいい加減にしなさいよ!お世辞の1つも言えないから、モテないで末っ子扱いされんのよ!」


ワノ国の“おしとやかさ”とか知ったことか!
あまりにも腹が立ったのでズカズカ歩く


「どこに行くんだよい」
「親父とか皆のとこ!誰かさんと違って誉めてくれるだろうし!イゾウ、ありがとうね」
「いつでも着せてやるよ」


最後にエースにあっかんべーってしてやった。






- 少しは誉めなさいよ -




たく、ほんとガキだなエース
全く。好きな女誉めることも出来ねぇのかい
う、うるせー!別にあんな色気もねぇ奴好きでもねぇし!?(***のうなじが、すげぇエロくてビビった…!)





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イゾウさんの喋り方がわからない!

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