▽ 少しは聞いて欲しかったり
月に1回、これが来ると女である事を呪いたくなる。
「いったーい…」
この生理独特のお腹の痛み、腰の辺りのダルさ。
こんな時はなるべく部屋に引き込もって居たいけど、そうもいかないのが海賊。
嵐やら海王類やら、ゆっくりと航海出来なかったり。
「何死にそうな顔してんだよい」
「……うるさい」
「何だ、反抗期かよい」
「違う……あれよ、女の子の日よ」
「ほぉ……………お前もちゃんと女だったのかよい」
“生理”と分かって少し気まずそうにするものの、からかってくるマルコに軽くパンチを入れる。
「まあ、顔色も悪ぃし休んどけよい」
「お言葉に甘えてそうするわあ…」
ナース達に薬でも貰おうかなと歩き出すと、視界が歪んだ。あ、やば………
「***っ!」
マルコが慌てる声も遠く聞こえる……
「んん…」
「起きたかよい」
目を醒ますととマルコの顔面。…ちょっとキツいな…
「お前今、失礼な事考えただろ」
「……………いや、考えてないっす。マルコの顔面がキツいとか」
「………お前なあ……、たく寝てる方が静かでいいよい」
うるせぇ、ほんとにキツかったんだもん。そんな事を思っているとマルコが「もう少しここで休んでろい」と言って医務室を出ていく。
ちょっと寝かせてもらお……
また目を閉じ寝ようとすると外からバタバタと足音が聞こえる。しかも足音がどんどんこっちに近づいてきているような………
「***っ!大丈夫かっ!!?」
「……エース…」
うわ、うるさいのが来たな……
汗だくになりながら駆け寄ってくるエース。
「***…!顔色悪ぃじゃねぇか…!」
「え、あぁこれわ……」
「***!死ぬな!!」
人の話を聞けよ、こいつ………!
私の手を取り、「俺が側に居るかなら」と言っている。いや、あんたが側に居ると騒がしくてゆっくり休めないから。
「エース…気持ちは嬉しいんだけどさ…ちょっと席外しててくれない?」
「何でだよっ!もし………もし、その席を外した間に***に何かあったら俺わ……」
ギュッと強く私の手を握るエース。
あの……私ただの生理痛で寝てるだけなんですけど……。何で不治の病にかかった人みたいになってんの、これ。
心配してくれるのは嬉しいけど、今は静かにしてほしいんだって!
「エースあのさ、」と声をかけるとエースもこちらを見てきて
「ただの生理痛なんだけど……」
「俺はまだ***に好きって伝えてねぇのに!!」
と、重なる私達の言葉。そして「え?」と次も重なったのは秘密だ。
「え、***…ただの生理痛なのか………? 」
「あ、うん。ごめん…そうなんだけど………」
「そう……か…」
「……………………うん」
「………………」
何故か謝る私。凄く気まずい沈黙…
「エ、エース、さっきの言葉なんだけどさ…」
「あ?あれはー、そのー、あれだ!あれだよ」
「…………どれよ」
じぃーとエースを見ると湯気が出始めるエース。今、エースの頭にヤカン乗せたらお湯が沸くな……そんな事をエースを見ながら考えていると、エースが何かひらめたみたいだ。
「あ、あれだぜ?い、一緒に遊ぶ奴居なくなってつまんなくなるって言おうと思ったんだよ!!遊び仲間で好きって意味だしよ!そう!それ!!」
自分の手に拳をポンッと乗せ、「あははー」とか笑いながら言っているエース。なんだ、そういう事か。
「ふーん、とりあえず休みたいから出てってくれない?」
ほんと、ゆっくり休みたいのよ私。
すると少し不安げな顔で「あの***?」「ほんとはどうなの?とか聞かねぇのか」とかエースが言い出した。
「いや、ごめん。ほんと生理痛酷いから休みたいの」
「………………………あ、はい………すいません」
ガックリしてトボトボと医務室を出ていくエース。
何がっかりしてんの?あいつ。まあ、やっとゆっくり休めるからいっか!
- 少しは聞いて欲しかったり -
どうしたんだよい、エース
…***に告白擬きな事言っちまったんだけどよ………対してリアクションもされなかった…
ど、どんまい(プ、フブ……)
笑うなら豪快に笑ってくれ………(泣)
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