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▽ 海賊なんで



川で溺れてた俺を助けてくれたモーダの頼みで海軍G-2支部へ潜り込んだ。何でも偉い奴にこの手紙を渡して欲しいらしい。グゥー………手紙を渡す前にまず腹ごしらえだな!


匂いを頼りに食堂につき、食い放題だったから大量に皿に盛って食べていると親父の悪口を言ってるのが聞こえた。カッと頭に血がのぼった俺は悪口を言っていた奴をぶん殴った。


どんな奴でも親父の事を悪く言う奴は許さねぇ…。けど冷静になってみると、そう言えば俺海軍に潜り込んでたわ。気が付いた頃にはもう遅く周りの海軍達が俺を捕まえようとし始めたもんだから逃げた。


逃げ回るのにも疲れた頃、適当に見つけた近くの部屋に入ると食事中のおっさんが居た。


「あ、お食事中にいきなりすいません」
「あ、いえ、大丈夫ですよ」


なんてお互い軽く頭を下げて話して居ると、おっさんが「て、何だお前わ!」って叫びだしたから殴った。んでついでに服を借りて残りのメシも貰う事にした。


「やっぱ海軍まあまあうめぇ物食ってんな…」


関心しているとドアをノックする音が。
慌ててのびてるおっさんを隠し、なるべく低い声で返事をすると女が入ってきた。


「中将、そろそろ会議ですよ」
「そ、そうか。分かった今向かう」
「………………………」


じっと俺を見てくる女。やべ、バレたか!?
すると、ふふと笑って俺のネクタイを結び直してくれた。


「………今日の中将はだらしないですね」
「たまには、こうゆう日もある…」


そうですか、と言いながら俺のネクタイを結び直すこの女が好みだったのは言うまでもなく……
ネクタイを見ているその瞳は綺麗でまつげも長い。思わず見とれていると、女がこちらを見た。


「早く会議に行かないと」
「あ、そうだったな」


女にいってらっしゃいと言われながら部屋を出る。名前ぐれぇ聞いとけば良かったか…?そんな事を考えながら会議をする部屋に入った。
会議に出たのはいいものの、出されたコーヒーが不味くて会議にならねぇ。しかも外が騒がしい。何でも船が燃えてるそうだ。


会議に出てた奴等も慌てて外へ向かう。そんなに大切な船なのか?と、不思議に思いつつ不味いコーヒーを飲んで海軍達を眺めていると「貴方は向かわないの?」と女の声がした。


振り替えるとさっきの女だった。


「え?あぁ、対した事ないだろ?」
「………何でも極秘情報ばかり積んだ船が燃えてるそうですよ」
「ふーん、そうか……」
「もしかしたら黒ひげの情報もあるかも知れないですよ?火拳のエースさん」
「…………え?」


ニッコリしながらサラリと言う女。ヒヤリと冷や汗が出る俺の横で女が話始めた。


「バレないと思ったの?こんなに若い中将が居たら、ここの厨房は大騒ぎよ」
「……………最初から気付いてたのか?」
「まあね」
「何で誰かに言わなかったんだよ」
「面白そうじゃない?海賊が海軍に潜り込んでるとか」
「……それ、他の奴に言わねぇ方がいいんじゃねぇか?」
「そう?毎日同じ事の繰り返しでつまらないの。何か騒ぎがあった方が楽しいじゃない」


平然と答える女。………見た目もそうだが性格もなかなか俺好み。こーゆー楽しみたがる奴、俺好きだな。
そう思いながら女を見ていると「いいの?ほんとに黒ひげの情報あるかもよ?」と言われ、確かにもしあったとして燃えたら困る事に気が付き船へと向かった。
向かう途中振り替えると女が手を振っていた。


外に出ると船がほぼ燃えていて何も出来ない状況の海軍達。海軍を助ける訳じゃねぇ、情報が欲しいだけだ。自分に言い聞かせ炎の中へ飛び込んだ。
すると情報が入ってそうなアタッシュケースと気を失ってる海軍。……………助ける義理はねぇが今日はこんな気分なんだ、とまた自分に言い聞かせアタッシュケースと海軍を担ぎ外へ出た。


最初は炎の中から出てきた俺を見てビックリしてた海軍達だが、俺が“火拳”と分かったら銃を乱射してきやがった。逃げようとした時、モーダの手紙を思いだし、おっさんに渡した。


これでやることはやったが………
海兵を撒きながらストライカーを隠してる場所ではなくある所へ向かう。向かった先にはまだあの女がいた。俺に気付いた女が話しかけてきた。


「どう?黒ひげの情報はあったの?」
「まあな!お前のおかげだ、ありがとよ」
「いーえ、それは良かったわね。わざわざお礼を言いに来たの?律儀なのね火拳のエースさんわ」


海賊相手に呑気に話す女。そんな女を見ながら「いーや」と言って笑う。笑ってる俺を見て不思議がる女。


「お前を拐いに来た!」
「………はあ?」


少し間を開けて間抜けな声を出す女を「よっこいしょ」と言いながら担ぐ。


「え、ちょっと!本気!?」
「おう!俺、お前の事気に入ったから連れてく」
「は!?そんな理由で!?」
「大事な理由だろ?それに海賊だからな!欲しい物は力ずくでも奪うぜ?」
「………なにそれ口説いてるつもり?」
「まあーな!」


俺が笑顔で言うと少し呆れ気味な女。けど何処と無く楽しそうでもあった。


「俺がお前を楽しませてやるよ。俺との旅は楽しい事ばっかだからな!!飽きないぜ?」
「………そうね……現に今も海軍の皆に追いかけられるのが楽しかったりするわ」


だろ?と笑顔で言うと「早く逃げてよ」と、もう乗り気になっていた。





- 海賊なんで -



ところでお前、名前何て言うんだー!?
***よ!
***な!俺お前の事一目惚れしたみてぇだ!
……………そんなの私もそうよ…
ひひ、そうか!
あーもう!良いから走ってよ!!
へいへい(笑)


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