ACE | ナノ

▽ An oath will be taken if it becomes strong.



私は雨が嫌いだ。
髪の毛がまとまらないから?違う。
洗濯物がなかなか乾かないから?違う。
外でお昼寝が出来ないから?違う。




エース隊長が居なくなりそうで嫌いだ。



いつも元気で隊員にも優しく慕われているエース隊長。マルコ隊長によく書類を出さなかったり、つまみ食いをしてサッチ隊長に怒られているけどクルー皆からの信頼は強い。
何より親父に対する想いが大きい。親父のマークを背中にデカデカと彫っている。そのマークを隠したくないが為に上半身はほとんど裸だ。



私はそのエース隊長の背中が好きだ。大きくて頼もしいあの背中が。いつもあの背中を追いかけていた。けど何故だろうか。雨の日は小さく見える。
小さいと言うか消えてしまいそう。それが怖くて雨の日だけは、エース隊長から離れなかった。今日も「雨の日は火の威力落ちるんですか?」と少し馬鹿げた質問をしたら「そんな事ねぇよ」って笑顔で言ってくれた。



笑顔で言ってくれたのに………




ナースさん達に診察されているエース隊長。目を閉じていて意識が戻らない。その様子を見ていると手が震えだして涙が零れそうになる。



「***ちゃん、そんなに気にしなくて大丈夫だからね」
「でもっ……私が捕まったりしたからエース隊長が……」



雨とはいえ、久々の島への上陸。浮かれていて他の海賊に捕まった私を助けようとしたエース隊長。いつもの様に銃弾を受けても大丈夫のはずだったのに、今日は違った。
パンッという銃弾と共に倒れていくエース隊長。海楼石の銃弾だった。



「私が捕まらなければエース隊長はっ………」
「いつまでくよくよしてんだよい。起きちまったもんはしょうがねぇだろい。それにロギアだからと言って油断したエースもいけなかっただけだ」



マルコ隊長が私の頭を軽く叩きながら言う。隊長達の気遣いに涙が零れる。診察されているエース隊長を見て助かるようにと祈る事しか出来ない自分に嫌気がさす。


そんな時エース隊長の手が少し動いた。



「エース隊長!?」
「いってぇ…」


エース隊長の言葉に皆一安心した様子。


「そりゃそうだよい。弾が体突き抜けてんだ、下手したら死んでたよい」
「まじでか…そうだ!***は怪我無かったか?」
「***ちゃんは大丈夫。お前あんま心配かけんな、馬鹿野郎」


サッチ隊長に頭をグリグリと撫でられて痛がってるエース隊長を見て力が抜ける。助かった………良かった………


安心するとそれまでなんとか我慢していた涙に限界が来たようでポロポロと涙が流れる。


「***!?やっぱりどっか怪我してんのか?」
「………………………さい」
「え?」
「あんまり無茶しないで下さいっ!……私なんかただの雑用なのに……隊長にもしもの事があったら、他の皆に顔向け出来ません……!」


そう。私は雑用だ。雑用の代わりはいくらでも居るが、隊長の器を持っている人は滅多に居ない。それに皆、エース隊長が大好きだ。もし、エース隊長に何かあれば皆ショックを受ける。



自分のした事の重大さを改めて実感すると体が震えた。けどエース隊長はわざとらしいため息をしたかと思うと私のおでこを軽く叩いた。


「バーカ。雑用とかそんなの関係ねぇだろ。大切な家族なら全力で俺は守る。それに家族ですら守れねぇ奴が隊長って方がダメだろが」
「でもっ………」
「でもじゃねぇよ。隊長だからこそ守りてぇんだよ。誰よりも」


エース隊長の言葉に涙が止まらなくなる。するとエース隊長が少し笑いながら「だから泣き止め、な?」と頭を撫でてくれた。


「エース隊長……居なくなったりしないで下さいよ」
「何だよいきなりっ。ならねぇよ!」
「絶対ですからね…」


エース隊長の言葉に安心して私が笑うとエース隊長も笑ってくれた。





- An oath will be taken if it becomes strong. -


なあ、マルコ
なんだよい
俺………もっと強くなりてぇ。もっと強くなって守りてぇ。
家族をか?***をか?
……………………両方だよ
ふーん(ニヤニヤ)
何だよ!マルコっ!!

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