▽ I make you happy.
「だから先輩には他にお似合いの人居ますよ」
今日で告白を断られて何回目だ?最初は遠慮がちに断っていた***も最近ではウンザリ気味に言う。
「ぜってぇ幸せにするから」
「先輩、しつこいですよ。」
そう言うとスタスタと自分の教室に入っていく***。
「エース先輩今日もフラれたんだ」
「………うるせーよ…」
***の後ろ姿を眺めていると***の友達のナミがニヤニヤしながら俺を見てくる。そう。ルフィが友達を家に連れてきた時、***に一目惚れした。
思い立ったら行動の俺は次の日に告白をしたが勿論フラれた。“エース先輩の事何も知らないから”って。じゃあ、俺の事知ってもらうと誕生日から好きな食べ物、漫画、スポーツ、どうでもいい事まで***に話したが、それでもフラれた。
“今は彼氏とかいいので”
“エース先輩とはお友達がいいんで”
俺は彼女になって欲しいんだよ。いつになったら彼氏欲しくなるんだよ。
「………正直どうしていいか分からねぇ」
「………………」
そう言うとニヤニヤしていたナミが真顔になる。何か考えて小さくため息をついた。
「***も怖いのよ」
怖い?***が?何を?そう思ってナミを見ると淡々と喋りだした。
「1年ぐらい前、バイト先のお客さんだった歳上の男に告白されて付き合ってたの。けど向こうにとってはお遊びで、どんどん連絡も少なくなっていった。けど***は信じて連絡を待ってたわ。久々のデートもドタキャンされて私と帰っている時にその男に会ったの。隣に女がいた。流石の***も隣の女の事聞いたら………」
それまでスラスラ言っていたナミが言葉を詰まらせる。
「男が***に冷たく言ったのよ。“彼女”って。それを聞いて泣いてしまった***を見て隣にいた女が***の事を聞いたの。そしたら笑いながら“昔遊んでた1人かも知れねぇわ”って言って女と歩いて行ったの。」
ナミの言葉に腹が立った。その時の***の気持ちを考えると、その男をぶん殴りたくて仕方がねぇ。思わず力が入る拳。
「それから***は男を信じられないの。また裏切られるのが怖くて。」
俺が***の立場でもそうなるな。好きな奴にそう言われたら立ち直れねぇし……
「けどね、エース先輩、」
それまで真顔だったナミが急に笑顔になった。
「***がここまでしつこい先輩にちゃんと返事するのも珍しいわよ?」
“しつこい”ってのに思わず笑ってしまったがいまいち意味が分からねぇ。
「どうゆう意味だ?」
「告白してきた男を***は避けるから。特にしつこく告白してきた男には、凄く冷たい表情になるしね」
「………俺にも冷たくねぇか?」
「ふふ、エース先輩鈍感?***あれでも嬉しそうなのよ?それにハッキリとは嫌いとかは言われてないでしょ?」
そう言われると確かにそうだな。断られてはいるものの、俺が嫌いとかは言われた事がない。
「エース先輩なら***を幸せに出来るって信じてるから、この話したんだから。頑張ってよね」
「…………俺はこう見えてしつこくて尽くすタイプなんだよ、任せとけ」
ナミの問いに笑顔で答えると満足そうな顔をするナミ。そこでタイミング良くチャイムが鳴ったから俺も自分の教室に戻る。
そんな男の事なんて俺が忘れさせてやる。
「***っ!!」
お昼休みに***の元へ向かった。お弁当を食べていた***を裏庭に連れてきた。教室を出る時ナミに「頼むわよ」って小さな声で言われたから笑顔で返しといた。任せとけ。
「***!俺と付き合ってくれ」
「…だから何度も言ってるじゃないですか。私はエース先輩とはお友達がいいんです、」
俺の方を見ずに淡々と言う***を真っ直ぐ見つめ言う。
「俺は***に彼女になって欲しいんだ」
「………か、彼女なら他にお似合いの人居ま「俺は***に彼女になって欲しいんだよ。他の奴じゃなくて」
***の声を遮り言うと***がビクついた。俺の方をまだ見ないが表情が崩れていく***。すると涙をポロポロ流し始めた。
「………エ、エース先輩も裏切るんでしょ…」
「裏切ったりしねぇ。言っただろ?幸せにするって」
俺の言葉に涙が止まらない***。多分ナミが言ってた奴の事を思い出してるんだろう。口をへの字にして「昔……男の人に裏切られたんです」と小さな声で喋りだした。
「ほんとはっ、エース先輩の告白嬉しかったんです。………私も一目惚れだったから…。けど…昔の人の事思い出すと怖かった…エース先輩も遊びなんじゃないかって…」
泣きながら言う***の頭を撫でながら***に聞いた
「知ってるか?俺はこう見えてしつこくて尽くすタイプなんだぜ?」
すると目に涙を溜めながらも笑顔で「知ってます」と答えた***の額にキスをした。
- I make you happy. -
絶対俺は泣かせたりしない。
お前の笑顔が好きだから。
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