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▽ 臆病な俺



「もうヤダ!マルコとは別れる」


俺の目の前で号泣しながら言っている***。マルコの女で…………そして俺の好きな女だ………


「なんでまた急にそう思ったんだよ」
「だって次、島降りる時一緒に降りないって言った」


そう頬を膨らませながら言う***。さっきまで泣いてた癖にもう怒ってる。コロコロ変わるこいつの表情は見てて飽きねぇし、可愛いと思う。……まあ、惚れてるからそう見えるのか。


***を見た時一目惚れをした。俺好みの外見。そして人懐こくてほっとけない性格。***の全てが俺の好みだった。
俺と***はすぐに仲良くなった。くだらねぇ事を話してても幸せだと思えた。けど人間欲深い生き物だ。それだけでは物足りなくて、***に俺だけを見てほしくて告白しようと決めた時、***が今まで一番可愛い笑顔で「マルコと付き合うことになったの」って言ってきた。
ヘタレな俺はそれから自分の気持ちを***に伝えれず、こうやって***のノロケや愚痴を聞いている。もう少しで1年になろうとしている。
正直言ってつれぇ。けど***と話せねぇのはもっとつれぇ。俺が好きだと言ったら***は俺に振り向いてくれるだろうか?……それはないな。***はマルコにすげぇ惚れているから。そりゃもう妬けるくらいに。現に今も怒ってるものの目線はマルコの方だ。


「いっつもご飯とか誘うのも私からだし」

なあ、こうやって話す時お前を誘うの俺ばっかりだぞ?

「……あんまり私の側に居てくれないし」

俺はお前の側に居るが俺じゃダメなのか?

「私がマルコ見てても全く目も合わないし」

俺がお前を見るといつも目線はマルコだよな

「マルコとは何か緊張して上手く話せないし」

俺と話す時も少しは緊張しろよ


「マルコはほんとに私の事好きなのかなあ…」

なら、俺にしとけよ。俺なら不安にさせたりしない。

「何か…私ばっかり好きみたいで辛い」

なあ、俺はいつもつれぇよ…



そんな事言う勇気もない俺は***の頭に手を起き「大丈夫だ。マルコの事、信じろよ」って撫でながら言う。すると嬉しそうな顔をする***。

***が気付かねぇだけで、マルコはいつも***を見てる。酒飲んで***の話をするマルコの緩んだ顔がどんなにきめぇか。
どうせマルコの事だ。次の島一緒に降りねぇのも1年記念とかで何か買うつもりだったんだろう。
それを貰った***は俺には見せねぇ笑顔をマルコに見せるんだろうな。そして俺に貰った物を自慢してくるだろう。


俺はその時ちゃんと笑ってやれてるだろうか。



- 臆病な俺 -


俺の気持ちに少しでも気付いて欲しいが、
臆病な俺がそれを許さない。


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