ACE | ナノ

▽ 雪と真っ赤な貴方



大学に入って初めての冬。独り暮らしにも大分慣れ、今日みたいな日は夜ご飯どうしようかなって帰って来て思わず、通り過ぎようかと思った。
雪で喜ぶのなんて子供くらいだ。もうある程度の歳を行くと寒くて雪でハシャグ気にもならない。なのにこの兄弟はなんなんだ。馬鹿なの?



「エース!見ろ!スーパー雪だるまさん!!」
「俺のやつ見て驚くなよ?ルフィ!ハイパードラゴンだ!!」
「うぉぉぉぉぉ!エースのかっこうぃい!負けるな、スーパー雪だるまさん!」



私のマンションの前で、何薄着で雪だるまと変な固まり作ってるの……?やっぱり馬鹿なの?………あぁ馬鹿か。


「おい!***!!お前も雪だるまさん作ろうぜ」
「いや、いい。寒いし…」
「何きどってんだよ!***の癖に。うし、ルフィ!スーパー雪だるまさんとハイパードラゴンで***に攻撃しようぜ」


そう言って雪を投げつけてくる。いや、その固まり達意味ないじゃん!


「ちょ、冷たい!!」


必死に避けるも買ったばかりのコートに直撃。


「これ新品だったのに!!」
「ばーか!ざまーみろ!」
「ししし、エース逃げようぜ!」
「…………逃がすかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」





それから思わず私も本気で雪合戦に参加してご近所の奥さんに「若いわねぇ」って笑顔で言われて我に戻った。冒頭であんだけ言ってたのに自分も本気で雪で遊ぶなんて………



「あ、ちなみに俺等今日泊まってくから」
「***俺肉食いてぇ!」
「…………嘘でしょ?」


ほんとこの兄弟は昔から急に言い出す。いや、慣れてるのは慣れてるけど、一応連絡してから来てよね…少し呆れているとルフィが近寄って来て私の手を取り歩き出す。


「早く家入ろうぜ!な、***」


このルフィの笑顔につくづく弱いなと実感。エースは後ろで笑いを堪えている。くそう、私がこの笑顔に弱いのを利用したな。こいつ。とりあえず部屋に入り2人に温かい飲み物を渡す。


「とりあえずご飯の用意するから2人ともお風呂入ってきたら?」
「えー。俺***と入りてぇ!エースとなんていつも入ってるし!」
「ぶぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
「ちょ、エース汚いっ」


ルフィの頭を軽く殴るエース。しぶしぶ1人でお風呂に入りに行くルフィ。エースは1人でブツブツ何か言っているけど気にせず料理を始める。静かになったなと思っているとエースが遠慮がちに言い出す。


「ルフィが入るって聞かなかったら***は入るか?」
「ルフィは弟みたいなもんだしなあ、入るよ?」
するといきなりエースの腕が両方から出てくる。エースの息が耳元にあたる。


「じゃあ、俺と一緒に入るか?」
「なっ、何言ってんの!?てか危ない!」


だよなーって少し寂しそうに言って離れるエース。てかエースとあんなにくっついたのは久々だな……友達になり始めた頃はよくくっついて来てたけど、急にしなくなったしなあ…まあ、ルフィは今でもよくくっついて来くるけど。
そう思っているとルフィが上がってきたみたいだ。お風呂場からドタドタと足音が聞こえてくる。


「***!メシ出来たか!?」
「もう少しで出来るよ、髪の毛乾かしなよー?」
「……俺も風呂入ってくるか」
「悪いけど早めにお願いね?ご飯出来るから」


へいへいと気のない返事をしてお風呂に向かうエース。ルフィはご飯を目の前に落ち着きがない。


「***!メシ食っちゃダメか?」
「んー皆で食べた方が美味しいからもう少し我慢して?」


分かった!と言ってつまみ食いしてるのは見なかった事にしてあげよう。可愛いから。


「てか何でいきなり来たの?」
「エースが最近***に会えてねぇから会いに行くかって。俺も***のメシ食いたかったし!」


エースがそう思ってくれてると知って嬉しいと思っている自分に疑問を持っているとエースが出てきたみたいで「余計な事言うな」とまたルフィを軽く殴る。………可哀想。それから2人は相変わらずの食欲みたいで、あっという間にご飯が無くなる。


「***風呂入ってこいよ。食器洗っとくし」
「ほんと?じゃあ、お願いしようかな」
「***!早く上がってこいよ!遊ぼう!!」


エースの言葉に甘えてお風呂に入る。何か久々にこーゆーのいいな。1人で過ごすより楽しいな。2人も美味しそうにご飯食べてくれるから作りがいもあるし。そう考えてると長くなるからさっさと上がる。するとルフィは寝てしまったみたいだ。エースが1人でテレビを見ていた。


「ふふ、相変わらずルフィの寝顔可愛いね」
「ほんとお前、ルフィの事好きだな」
「好きだよー!可愛いもん」


ほっぺたをつつくと動くルフィで楽しんでいると、急に後ろから抱き締められる。


「じゃあ、俺はどうなんだよ………」


いきなりの事で頭が回らず黙っていると、強めに抱き締められる。


「昔から***の事好きなんだよ。言うタイミング掴めなくて、なかなか言えなかったんだけどよ…」


背中でもエースの心臓の動く音が分かる。


「エース凄い心臓動いてるね?」
「……当たり前だろ。今日は言うつもりで来てたけど、ルフィが余計な事言うし……風呂上がりの***可愛いし…しかも今日のやり取り夫婦みてぇで気ぃ抜くとニヤけちまうしよ」


真っ赤になりながら言うエースが可愛いなって思い、自分にエースが会いたがってくれてた事が嬉しかったのと、エースとくっついてドキドキした事を言おうとエースと向かい合わせになった。



「実はね、エース」


嬉しそうに笑うエースに私もつられて笑った






- 雪と真っ赤な貴方 -



んがっ寝てた!***!遊ぼう!
ルフィ!!いい加減***にくっつくの辞めろ!
何でだよエース!!いいじゃねぇか!!
俺がどんだけ今まで我慢してたと思ってんだ!


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