▽ 負けず嫌いなもんで
※ エースと結婚済み
仕事終わり、後輩と雰囲気のいい感じのカフェを見つけて仕事の愚痴やら話しているとお店のBGMとは違う音楽が私と後輩の間に流れる。その犯人は私のスマホで画面にはあほ面写真のエース。
「ごめん、電話出てもいい?」
「大丈夫ですよー!」
後輩に許可を得て電話に出る
「今電話大丈夫か?」
「大丈夫だけど、どうしたの?」
「仕事が珍しく早く終わったもんで、たまには外でメシ食いに行かねぇかと思ったんだけど今外か?」
「今後輩の子とお茶してる」
ふと目の前の後輩に目を向けると、ニマァーと変な笑顔で小声で「旦那さんですか?」と嬉しそうに問いかけてくる。「そう、」と口パクで伝えるとさっきより遥かに気持ち悪い笑顔で「呼びましょう!!」の声が。
「……エースが良かったらだけど来る??」
「いや、折角***達が楽しんでるのに俺行って大丈夫なのか?」
「どうやら後輩は会いたいらしいよ、あんたに」
そう伝えざっと今いるカフェの場所を教えると「すぐ行く」と返事が。
後輩も来ると教えると嬉しそうに飲み物を飲みほした。
「いやー言ってみるもんですね!!***の旦那さん会いたかったんですよ」
「あんたより大分年上だよ?オッサンに何で会いたい訳?」
「だって***さんの話聞いてますけど面白そうな方じゃないですか!」
早く来ないかなあ、なんて言いながら次の飲み物を選び出す後輩を物好きだな、と思っていると「着いたけど席どこ?」のメッセージ。
思いのほか早く来れたなと思いつつ「奥の席」と返事をすると、仕事終わりのはずなのに元気そうな笑顔で「お疲れさん!」と声をかけてくるエース。
「初めましてっ!!***さんにお世話になってます!」
「今日はお楽しみ中のお邪魔してわりぃな!逆に***が迷惑かけてねぇか?」
笑いながら後輩にそう言うエースの肩に軽く裏拳を入れると「怒んなって」とこれまた笑いなら言うエース。ただ今回は私の頭を撫でながら。
別に撫でられるのは嫌いじゃない。好きなくらいだ。ただ、後輩の目の前。やはりテレがあるし、一応後輩の前では"出来るクールな先輩"を意識しながら後輩に接してきた為恥ずかしくてエースの手を避ける。
ニヤニヤとこっちを見る後輩に「早く飲み物注文しなさいよ」と話題を変える。
「俺、普通にメシ食っていいか?」と聞いてきたエースも、物凄い量を注文しだしその光景に後輩は少し引いた様子だ。
けど注文した物が届き、皿の上の料理が無くなってきた頃には打ち解け合い、エースも後輩も普通に話すようになっていた。
「でもいいなあ、結婚!!」
「そうか?結婚なんてするもんじゃねぇぞ?自分の時間は少なくなるし、金も自由に使えなくなるし、こまけぇ事言ってきたりするしよ、」
「おい、相手が横に居るのに何言ってくれてんのよ」
私とエースの掛け合いを見て笑う後輩。
何気ない後輩とのお茶の場面に、普段いない筈のエースが居る事が何だか嬉しく思っているとふと手に何かが乗る感触が。
目を向けると私の手が、エースの手に包まれていた。思わずビックリしてエースを見るが、こちらを全く見ず私が見ている事も気付いていないのか、後輩と普通に話している。
後輩からは見えない位置とはいえ、思わず動揺して飲み物を飲むスピードが上がる。
ドキドキしている私にお構いなしに、話は盛り上がっていく。
「旦那さんは***さんと結婚して幸せですかあー??」
在り来たりな質問。
だけど何だかこの状況でそれを聞かれると変な緊張が流れる。
するとさっきまで軽く握る程度だったエースの手が少し強く握ってくる
「そうだなー…今までは結婚なんて興味なかったし、する気もなかったけど***に出会ってからはその考え方も変わって、こうやって結婚して……仕事で嫌な事あって家帰ると***が笑顔で"おかえり"って言ってくれると心ん中にあったモヤモヤしたもんも無くなるし、***が居るから仕事で無理な事言われても頑張ろうと思えるし、***のおかげで俺は人としても男としても成長出来てる気がするな!って、ちと質問の答えにしてはちげぇか」
俺頭わりぃからなーなんて、人の気も知らないで呑気な事言うエースの顔が見れなくて、空いている手で顔を隠していると、今日一とも言えるニヤついた顔で後輩が「いいなあ、結婚!!!」と言うもんで、言われっぱなしも悔しいのでドヤ顔で「いいでしょ、結婚」と言いエースの手を握り返した。
‐ 負けず嫌いなもんで ‐
うわ、***さんドヤ顔で惚気だした!!
そうかー***は俺と結婚して幸せかー、だよなー!俺みたい好物件なかなかねぇもんなー
(嬉しそうな顔隠しきれてないのよ…)
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