ACE | ナノ

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リクエスト:気持ちを押し殺す続編






幼馴染ってのも大変なのよ。常に平常心、貴方に気なんてありませんよって態度を取らないと、いつこの関係が崩れるかも知れない。この関係が崩れるのだけは避けたい。
けど私のこんな気持ちなんてエースは知るよしもない。




「なあ***、この子可愛くね?」
「……いや…よく見てみなよエース。この子光で飛ばして鼻が全部写ってない。こんな自撮りする子は自分がどう写れば可愛く見えるか分かってる。実物は豚っ鼻かもしれないし、顎もこんなにシュッとしてないかもよ?」


エースが見せてきた雑誌のあるコーナー。それは読者が写真を投稿できるコーナーで、友達とのネタ写真や自撮りの写真が載っている。そんなコーナーの、恐くエースの好みであろう女の子達を見ながら、さっきの仮説を言うとエースがポカーンとしていた。なんだ?と不思議に思っていると友人のサボを呼び「こいつやべぇ」と指を指してきたので、その指をへし折ってやろうかと思った。


「どこがやばいのよ」
「的確過ぎてちょっと引く。お前も実は可愛く見えるのがどこかとか分かってんじゃね?」
「えーそんな事ないよ?」



少し躍けて首を傾げながら言うと「気持ち悪りぃ」とケラケラと笑いながら机を叩いて笑うエース。くっそー、少しは女として意識しろよ!と思いつつも、これが私達の関係なのだから仕方がないかと諦めて私もいつものようにリアクションをする。
私はエースの中で女と思われていない。そんな事何年も前に分かった事だ。もう慣れた。私はこの関係を壊さないようにしないと…


「うるさいなあ。そんな事私が分かってるって!」
「***はほんと女らしさってのが似合わねぇよな!」


平然と笑顔で言われズキンと痛む胸をエースに分からないように摩る。
大丈夫、いつもの事…平常心で…少し噛み締めた唇が震えるのを我慢しているとポンポンと頭を触られる。


「俺は可愛いと思うけどな」
「……へ?」
「***は可愛いぜ?自覚がないだけでな」


そう言ってくれたのはサボだった。優しい顔で私の頭を撫でるサボに思わず顔が熱くなる。こんなに女の子扱いされた事なかったから。
熱いままの顔でチラリとサボを見るとニッコリ笑われ思わず合った目を逸らす。けどそんな私にお構いなしに頭を撫で続けるサボに、どうしようか迷っていると頭の上でパンっと軽い音がした。見上げるとサボの手をエースが振り払ったみたいで、少し険悪なムードが出ていた。


「何きめぇ事言ってんだよ」
「俺は本心だが?」
「……あっそ」


いつも通りに答えるサボに、無愛想に答えたエースはそのまま教室を出ていく。こんな2人を見るのは初めてだったので焦る。


「***が焦る事ねぇよ。」
「いやでも…あんた達いつも気持ち悪いくらい仲がイイのにさ…」
「気持ち悪いってひでぇな!気にすんな!!」
「サボが言うなら大丈夫なんだろうけど……」


ほんとに大丈夫なのか考えていると突然スマフォを操作し出すサボが「***さ、今日放課後予定あるか?」と言い操作し終わったのか、スマフォを私に差し出してきた。


「ここ行かねぇか?」


ニヤリという効果音が似合う笑顔で画面を見せてくる。その画面を見ると猫カフェのサイトだった。そこは私の家の近くに新しく猫カフェが出来たらしい。その画面を見た瞬間、猫好きの私は即答した。
……放課後にはエースの機嫌も直ってるよね…。サボと2人でエースも誘おう…そう考え次の授業の準備をする為自分の席に戻る。予鈴鳴ってもエースは戻って来なかった。
けどエースが授業に出ない事はよくあったので、そこまで気にせず授業を受けた。


放課後まで教室に戻らないエースの鞄をどうしようか考えていると荒々しく教室のドアが開く。開けた本人は不機嫌な顔をしたエースだった。いつも笑っているエースのそんな顔にクラスメイト達もどうしていいのか分からない様子だった。
実際私もここまで不機嫌なエースを見るのは久々だったので、どうしようか迷っているとブスッとした顔で「帰んぞ」と声をかけてくる。


声をかけてくれたって事は、機嫌も直りつつあるかな…?
少しオドオドしつつ「あのさ、」とエースに声をかけると同時にサボの「***帰ろうぜ!」と明るい声が重なる。
一瞬目が合った2人に変な空気が流れる。なんだかその空気に冷や汗が垂れるが空気を変えなくては!と2人に声をかける。


「あのさサボ!今日言ってた所エースも一緒にどう?エースも動物好きでしょ?サボが猫カフェ見付けたみたいでさあ…!!」


無駄に明るい声を出し話しかけるものの、ピリピリとした空気はなくなりそうにない。


「あ?んなの行かねぇで帰んぞ。」
「え、でも……」
「おい、エース。たまには俺に***を譲れよ。お前ばっか***と遊んでんだろ」


な、なんだこの雰囲気。サボの言葉に眉間に寄ったシワが深くなるエースに、そんなエースにお構いなしに私を誘うサボ。大体サボも普段なかなか誘わない癖に今日に限ってひかないの!?
1人どうしようか迷っていると、エースが舌打ちをして去っていく。そんなエースに構うことはなく私の手を取り歩き出すサボ。


どうするのよ……
エースもサボも、いきなりどうしたの……


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