ACE | ナノ


▽ この恋に気付いて


リクエスト:私だけを見てくださいの続編
※ NL要素がありますので、苦手な方は注意。



エース隊長を好きになればなる程、マキノさんに強い嫉妬心が出てくる。


私の方がエース隊長と一緒に居るのに。
私の方がエース隊長の事知っているのに。
私の方がエース隊長の事好きなのに…私の気持ちはエース隊長には届かない。


「***ー!今日は何作ってくれんだ!?」


甲板で本を読んでいると、エース隊長がドタバタと走りながら近寄ってくれる。
こうして無邪気な顔で私の所に来てくてるのは、ただ単にご飯が食べたいから。私と一緒に居たいとかではなく、ご飯の為。
エース隊長に好意を持っていた私は、どうしても近づきたくてない頭を使って出した答えは“胃袋を掴む”というものだった。その答えはエース隊長には効果的で、直ぐに仲良くなれた。苦手だった料理も少しづつ腕を上げていき、エース隊長の料理を食べる姿を見る度に距離は近くなっていると思っていた。


けど、私のその考えは甘かった。
仲良くなればなる程、もっとエース隊長と近づきたいという気持ちが強くなる。欲張りになった時、もう1つエース隊長と仲良くなれて分かった事が。
そう、マキノさんだ。


距離が近くなった分エース隊長は色んな話をしてくれて嬉しかったのに、エース隊長の口から他の人の……ましてや女の人の名前が出てくるとは思わなかったから衝撃が強かった。
しかも見た事のない表情でマキノさんの話をするエース隊長を見てドロドロとした感情が出てきた。


「おい!***!」


エース隊長の言葉にハッと気が付く。
そうだ、エース隊長が折角話しかけてくれていたのに何考えてるのよ。


「すいませんっ。何作ろうかなって考えていて…」
「たく、しゃーねぇな!で!何作るんだ!?」
「そうですね……久々に煮魚でも作ろうかなと」
「えー肉食わせろよ!!」


ブーブー言いながら横に揺れるエース隊長が思わず可愛くてプッと笑うと、余計機嫌を損ねてしまったみたいで頭をグワングワン回される。
こんなに近い所にエース隊長が居るのに、私の気持ちが届かないのなら“いい隊員”で居る。気持ちを隠せばいい。そうすれば、こんなドロドロした気持ちもなくなるはず。


そう決意したのに私の決意はエース隊長のたった一言で簡単に崩れる。


「やっぱ***のメシ食ってる時が一番幸せだな!」
「……し、幸せなんですか…?」
「おう!!」


私の問いかけに即答で答えてくれるエース隊長。しかも満面の笑み付きで。
いい隊員で居ようと決めたのに、やはりエース隊長に少しでも褒めてもらえると好きという感情が出てしまう。


「サッチのメシも確かにうめぇけど、やっぱ男の料理!って感じがすんだよな。見た目も豪快だし。けど***の料理は見た目も綺麗だしな!まあ、美味そうだからよく見ずに食っちまうけどなっ!!」
「じゃあ、今度からはもう少し見てから食べてく「マキノのも綺麗だったな!確か!!」


嬉しくてつい、ニヤけていると現実を突き付けられる。エース隊長の一言で上がった口角は、エース隊長の一言によって下がっていく。
そんな私に気付く訳ないエース隊長は「ルフィの誕生日ん時もよー」なんて平気にペラペラと話している。


エース隊長の話を聞く度にまた、ドロドロとした感情が私の中に溢れてくる。
マキノマキノってエース隊長。貴方の目の前にいるのは私ですよ?他の人の話を嬉しそうに話さないで下さいよ。


嬉しそうに話すエース隊長の顔を見て思わず「もう分かりましたから」と遮る。しまったと思う事よりも、今までの気持ちが止まらない。


「もう…マキノさんの話はうんざりです…。毎回毎回マキノマキノって…そんなにマキノさんの事が好きなんですか!?私が…なんでエース隊長に苦手だった料理を作ってたか分かります?……好きなんですよエース隊長の事が…だから…もうマキノさんの話はやめてください……。どんどん自分が醜くなる…」


ああ…言うつもりはなかったのに…気持ちは隠すって決めたのに、こんな事を言ってエース隊長が困るだけだと分かっていたはずでしょ…
いつもなら私が喋っていようが自分の話を遮ってまでするエース隊長が何も言わない。終わった。私のいい隊員でいようという逃げる術も出来ない。私はこれからどうすればいいの……エース隊長はこれまで通り接してくれるのだろうか。それとも避けられるだろうか。


………嫌だっ…。もう私に笑いかけてくれないなんて…エース隊長と喋れなくなるなんて…
そうなる前に保険をかけなきゃ…。“今のは冗談です”と。なかった事にしないとこのままでは避けられる


「すいません。今のはなしに…」
「なあ、」


いつも明るい声のエース隊長が低い。初めて聞くその声のトーンに、その場に居る勇気がなく逃げようと立ち上がるとエース隊長に腕を掴まれる。振り払おうにも、その力が強くて振り払えない。


「今のほんとか…?」


真っ直ぐと私を見て問いかけてくるエース隊長から目をそらす事が出来ない。早く、早く何かを言わないと取り返しのつかない事になる。
口を開こうとした時腕を強い力で引っ張られる、バランスを崩し体が前に倒れていく。体勢を整えないと…!そう考えが出た時には、私はエース隊長の胸の中に居た。一瞬の出来事で何も言えない私にお構いなく抱きしめる力を強くするエース隊長。


「***…今のはほんとか?すげぇ嬉しいんだけど」
「え…」
「俺も***の事好きだ。好きだから***のメシを食ってる時が幸せなんだよ」
「でも……あんなにマキノさんの話を…」
「あれはその…ワザとだ。マキノの話をすると***が寂しそうな顔をするのが可愛くて…わりぃ……」


ただでさえ強い力で抱きしめてくるのに潰れるんじゃないかというくらいより一層強い力で抱きしめる。


エース隊長…貴方のせいで私がどんなに悩んでいたか分かりますか…?



「エース隊長、私は…マキノさんの話を聞く度に辛かったです。ドロドロとした感情が止まりませんでした。けど私単純みたいなんですよ……。エース隊長が“好き”と言ってくれただけで私…そんな感情がスゥっとなくなったんです」
「もうそんな気持ちにさせねぇ…。だからこれからも俺にメシ…作ってくれよ…」
「ご飯目的ですか…?」


私が今までの仕返しのつもりでそう聞くと気まずそうな顔を一瞬したが、あの満面の笑みで「ばーか」と答えエース隊長はキスをしてくれた。





- この恋に気付いて -




本当にマキノさんの事好きじゃなかったんですか?
マキノはねぇちゃんみてぇなもんだ。好きになったのは***が初めてだ!!そういう***も好きになったの俺が初めてか!?
(や、やばい…エース隊長が凄くキラキラした目で見てる…)いや…その…
…んだよ。ちげぇのかよ。


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