▽ Show a sweet sweet dream.
おいおいおい!!目を覚ませ私!!!
こんな所一番行ってはダメなタイプだろ!!?
「初めましてー!名前なんて言うの?」
「あ、そのっ***です!」
「***ちゃんね!そんなに緊張しなくていいって!」
なんて笑いながらお酒を作るスーツの人。
名前はサッチさんと言うらしく、今時珍しいリーゼントだけど気さくな人でほっとする。
彼氏に振られヤケクソで入ったホストクラブ。
散々冷たくされ最終的には浮気をされて振られた私。
男の人に優しくされたいってくだらない理由で行ったこともないホストクラブに勢いで入ったものの、その凄さに圧倒されていた。
「ま、気楽に飲んでってよ」
「あ、はい!お願いしますっ」
「ほんと***ちゃん珍しいタイプだねー」
他愛のない会話をしていると黒服の人に呼ばれ立ち上がるサッチさん。
「ごめんね、ちょっと常連さんから指名入っちゃったみたいで」
「いや、そんな!気にしないで下さい!!」
「代わりに俺のオススメくん呼ぶなからさっ!楽しんでって?これ、俺からのサービス」
そう言って1本何十万とするシャンパンをテーブルに用意してくれたサッチさん。男前だなあって思ってサッチさんを見ていると「いい加減俺の事も見てくれねぇ?」って男の人のドアップが。
「ひぃっ!」
「幽霊扱い?そんなにサッチがいい訳?俺じゃ満足出来ねぇ?」
「とんでもないっ!!そんな事ないですよ!!」
「冗談冗談!必死になりすぎだろ?」
ククっと笑ってる黒髪の男の人。
笑顔が少し可愛いくみえて、可愛いらしい人だなって思ったら「なあ、」と呼ばれた時には彼の手が伸びてきた。
「まつ毛にゴミついてる」
「あ、ありがとう…」
一瞬ドキリとしたのを隠しつつ返事をすると名刺を渡してくれた。
「これ、俺の名刺。サッチより俺のがいい男だから」
「ぷ、そうなんですか?」
「笑うって事は信用してねぇな?」
笑いながらそう話す彼、名前はエースさん。
それからはエースさんの弟の話をしたりして、あっという間に時間は過ぎていった。
「もうこんな時間……」
あまりにもエースさんとの会話が楽しくてつぶいた。
「また……来てくれよ…」
「………はい」
少し照れながら言うエースさんの言葉に私も照れながら答える。最初はくだらない理由で来たけど、あんな理由抜きでまた来たくなった。
エースさんともっと話したかったな…お会計をしながら思っているとある事に気が付いた。
「これ……お会計間違ってません??」
思っていた以上に安かった。
サッチさんが1本シャンパンをくれたにしても後2本は私飲んだんだけど…後フルーツとかも食べたし…
不思議に思っているとお会計をしていた人がそんな私に気が付いたみたいだ。
「ああ、最初の基本料金以外はエースさんのおごりですよ」
「え!エースさんの!?」
お会計を済ませ、申し訳なかったなあって思いつつホストクラブから出る。出てすぐの角で腕を引っ張られ壁へと押し付けられた。
痴漢っ!?
涙目で目の前の私を引っ張ったであろう人を見る。
「泣くなよ…」
「エース…さん……」
困った顔をしたエースさんが私の目の前にいた。
「怖がらして悪りぃ……***にこれ渡したくてよ…」
「紙…ですか?」
雑に折り畳まれた紙を広げると、そこには電話番号が。
ビックリして紙とエースさんを交互に見る。
「これプライベート用の番号。名刺に書いてんのは仕事用だから俺、基本的に電話とか出ねぇんだわ。同伴しろとか言われたらめんどくせぇし」
「そ、そうなんですか?」
「けど***は別。客とか関係なく、これから会いたくなったんで」
ニッと笑いながら言うエースさんにドキドキしながら、その紙を握り締める。何も言わない私に少し口を尖らせるエースさん。
「もしかして信用してねぇ?確かにホストしてっと信じて貰えねぇかも知れねぇけど、本気だから」
真っ直ぐ私を見るエースさんが、可愛いらしい人と思ったのが申し訳なくなるくらい大人の男の目をしていた。
「連絡…入れます……。私もエースさんとまた会いたいので」
私の言葉に満足そうに笑うエースさんと名残惜しみながら別れ、いつ連絡を入れようか考えながら帰った。
- Show a sweet sweet dream. -
貴方になら騙されてもいいと思った私は馬鹿かも知れない。
けどこんな展開、夢だとしたら覚めないで欲しいと思うほど
私は貴方の虜になったみたい。
ただの1人の男として見て欲しい。
だから逃がさねぇから覚悟しとけよ
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