▽ 絶対口には出さないけど
し、しんどい……。
ゴホゴホと咳き込みながらボォーっと天井を見つめる。
ここ最近天候が荒れに荒れ、嵐が過ぎ去ったと思ったら次は吹雪とかで恥ずかしながら風邪を引いてしまった。
海賊は体力勝負なのに……はあ、と自分に呆れているとドンドンとドアを叩く音が。ドアからエース隊長がひょこっと顔を出していた。
「うーす!大丈夫か?」
「……大丈夫じゃないです……」
「たくよー、俺達は体が大切なのによー」
そんな事分かってます!なんて言う元気もなくゴホゴホとまた咳き込む。するとおでこに冷んやりした物が。
「うわ、タオルぬっる。取り敢えず変えとくからな」
「す、すいません。ありがとうございます…」
隊長にこんな事させて申し訳ないな…自分の間抜けさに呆れていると、ポチポチとボタンを外すような音が。
ふと、胸元を見てみるとエース隊長が私のパジャマのボタンを外していた。ガバッと勢いよく起き上がり胸元を腕を隠す。
「ちょ、何してんですか!!」
「いや、汗掻いただろ?拭いてやろうかなーっと」
「いやいや、ダメでしょ!!」
「なんだ、今日ボロ下着か?」
「確かに古めの下着だし…ってそーゆー問題じゃなくて!」
少し興奮気味に叫んだせいか、ゴホゴホとまた咳き込む。
あー…叫んだら頭がクラクラしてきた。
「体調悪りぃのに叫ぶからだろ?ほれ、寝とけ」
そう言って落ちたタオルを私の頭にはまた乗せてくれた。のは、いいけど何故か私のベットに入ろうとしているエース隊長。
「……エース隊長?一応聞きますけど何しようとしてるんですか?」
「やっぱり体調悪りぃ時って人肌恋しくならね?」
なんて眩しいくらい良い笑顔で言うエース隊長に一言言ってやりたいが、クラクラして何も言えない。
「ま、体調悪りぃ奴襲う趣味ねぇなら安心しろ!な!!」
「全く信用できないんですけど……」
「まあまあ!はい、寝んねしましょうねぇ!」
キッチリベットの中へ入りポンポンと叩いてるエース隊長。
案外エース隊長が優しくポンポンと良いリズムで叩いてくれるのでウトウトしてきた。
ああ、寝れそー……っと瞼を閉じようとした時、横から大きなイビキが。横を見てみると大きく口を開けて寝てるエース隊長。
病人の横で爆睡って……
まあ、エース隊長らしいと言ったららしいけど……
エース隊長が眠りに入り、さっきまでポンポンと叩いてくれていた腕がズッシリと重くなり退けるのに苦労したが、看病してくれた事には心の中で感謝しておいた。
- 絶対口には出さないけど -
ゴホゴホッ!ゴホッ!!
***……何か余計酷くなってねぇか?
エース隊長のっ!ゴホゴホ、寝相が悪くて布団全部取られたんですよ!!
え、ごめなさい…(けどあのまま起きてたら襲わねぇ自信なかったからなあ…)
(絶対エース隊長にお礼なんて言わない!泣)
prev /
next