▽ ヘタレくんと男前ちゃん 4
カンカンカンッ!!
それはいきなりの事だった。
気候も安定した海域に入り各々のしたい事をしていた時、鐘の音がモビーに響いた。
「ふーん、久々の敵さんね」
「さっさと沈めてお宝でも貰おうじゃないの♪」
「今週の討伐は確か2番隊の当番だったろい」
「だってさ、エース」
サッチやマルコと呑気に海を見ながら敵船を見る。
んー、なかなか大きな船だね。まあ、エースだけで十分な相手だろうな。けどまあ………
チラリと私の隣で座り込んでいるエースを見てみる。「敵船怖い、敵船怖い」とブツブツ呟いている。隊長のくせに、ほんとヘタレだな…
「ほらっ!エース早く片付けて来なさいよ」
「馬鹿っ!***!あの船でけぇぞ!?」
「そんなの見れば分かるわよ。」
シレッと言うといきなりエースに肩を掴まれた。凄い剣幕で「他人事だと思いやがって!」って言われたけど、他人事だから仕方がないよね。てか目がいっちゃってるよ。
「うるさいなー隊長でしょ?パパッと片付けて来てよ」
「おまっ…!もし海楼石のもん使われたら俺なんて一発だぞ!?」
「大丈夫、大丈夫。そこら辺の海賊は海楼石なんて持ってないわよ。…………多分」
「今ボソッと多分つったよな!?適当な事言いやがって!俺ぁ行かねぇぞ!」
「行かねぇってお前な…隊員は張り切って行ってんのに隊長か行かねぇでどうすんだよい」
マルコの呆れた声にも聞く耳を持たずのエース。
マルコが青筋を立てていても平気みたいで「俺行ーかねっ!俺知ーらね!」って言って、また座り込む。ガキか、こいつ。
「あーあ、戦ってるエースかっこいいのになあ」
わざとらしく言うと私の言葉にピクリとエースが反応する。……後一押しかな
「まあ、エースが行かないって言うなら仕方がないかあ。あーあ残念だわー」
「……………か、かっこいいか?」
食い付いたっ!!!
「そりゃあ、もう!エースって強いし戦ってる姿がカッコ良くて惚れそう!」
「そ、そうか?***がそこまで言うなら仕方がねぇなっ!」
「エース行ってくれるの!?」
「おう!任せとけ!あんなの瞬殺だ!瞬殺!」
そう言ってドタドタと走り隊員達を押し退けて敵船へ向かうエース
「ちょ、隊長!いきなりなんスか!」
「うるせー!あれは俺の獲物だ!お前ぇ等は手出しすんなっ!」
ほんと単純で有難いわー。
敵船で暴れるエースを見ながら思っていると笑いを堪えてるおっさん2人が。
「ほんと…エースって***ちゃんの言う事は聞くよね…!ぐふ」
「これからは***からエースに書類の期限守るように言わせるよい…」
可哀想なくらいお馬鹿なエース、可愛いから嫌いではないけどね。嫌いではね!
- ヘタレくんと男前ちゃん -
***!見てたか!?かっこ良かったか!?
あー見てた見てた。かっこ良かったよ(棒読み)
ほんとか!!?ほ、惚れたか!?
惚れた惚れた(棒読み)
あきらかに***ちゃん本読んでて心ここに在らずなのに…エースの野郎全く気付いてねぇな……
そっかー!かっこ良かったかーっ!!(点数稼ぎ出来たなこりゃあ!ニヤニヤ)
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