▽ 天然?小悪魔でした
「は?今なんつった?」
「だーかーらーナンパされた」
そう答え平然とサッチに「何か飲み物頂戴」と言っている***。冷静な***とは違い、俺は大パニック。
「おまっ、それ何処で!?何て言われたんだ!」
「えー?そこの本屋さん。なんて言われたっけなー…」
「思い出せ!そこ重要だからっ!!」
「うーん……」
考え込む***を見ながら後悔した。やっぱり***を1人で島なんか行かせるんじゃなかった…!
俺の片想いの相手は誰にでもヘラヘラと笑い、お菓子をあげると言われれば付いていくような奴だ。天然つーか、お馬鹿つーか……
なるべく島に着いた時は、何かしら理由を付けて一緒に行動していたが、今回はマルコに捕まりそうも行かなかった。
「気になる本立ち読みしてたら、『すいません』って声かけられてー」
「かけられて!?」
「『可愛いなあって思って』とか『良かったらご飯食べに行きませんか』って」
「……で?***は何て答えたんだよ」
「えー?ご飯食べたのでいいですって言った!」
ニコッて笑いながら言う***。
人の気も知らねぇで……可愛いな、こんにゃろぉ
………が、ナンパしてきた野郎燃やす。ぜってぇ燃やす!
***に「可愛い」とか俺でも言ってねぇのに言いやがって。1人そう覚悟に決め、***を見るとニコニコしながらお菓子を食べていた。ほんと人の気も知らねぇで…
「メシ……食ってなかったら着いていったか?」
俺の言葉にキョトンとする***。
するとまたヘラりと笑い「行かないよー」と力の抜けた答え。
「だってエースと食べてる時が一番楽しいし美味しいもん!」
「へ?」
「エースが美味しそうに食べてるの見ながら食べるのが私好きなんだよねー!」
「そ、そうか……そうかっ!!」
思わずニヤけるのを我慢する。やべぇ素で嬉しい。
我慢している俺を不思議がって「どうしたの?」って覗き込みながら聞いてくる***にキュンとする。
「いや、まあその……あんま1人で行動すんな」
「えー、なんで?」
「なんで?ってお前ぇ……危ねぇだろ?」
俺がそう言うと「うーん」と考え出す***。
するとパッとこちらを見ていつものヘラヘラした笑顔じゃなく“女”の顔をした***が俺を見てきた。
「危なくなったら……エースが助けに来てくれるでしょ?」
「………………………おう。当たりめぇだろ」
そう答えるとニッコリと笑いまた、いつもみたいにヘラヘラとした顔に戻っていた。
- 天然?小悪魔でした -
(ぜってぇ天然じゃねぇ…***は小悪魔だ…)
(ふふ、まだエースに気持ちは言ってあげない)
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