▽ 君の体温は俺のもの
「ぶえっくしょん」
ズズズと鼻を啜りながらローファーから上靴へと履き替える。やばい、服装間違えたな、こりゃあ。
家を出る時出ていた太陽は分厚い雲に隠れ、おまけに風まで出てきたおかげで寒い。
半袖から出ている腕同士を擦りながら教室に向かおうとすると「ぷ、」と誰かの笑い声が。
振り替えると長袖のパーカーを着ているエース。
「***……お前ぇもっと色気のあるクシャミ出来ねぇのかよ」
「うるさいなあ。あんなのスッキリしないの!」
「おっさんみたいだったぞ。さっきのクシャミ」
指の先までパーカーで隠して笑いながら言うエースに、アッカンベーをしながら教室に向かう。なんだよ、自分は暖かい物着やがって!
「ふ、ふぇ、ぶえっくしょーん!!」
勢いよく出たクシャミのおかげで鼻水が垂れる。
そんな私を見て爆笑しているエース。
「たく、せめて手で押さえるとかしろよ」
「う、うるさいなあ」
くくっとまた笑いながら上靴へ履き替えたエースが私の横まで歩いてきた。するとふわりと何か暖かい物が。
「風邪ひいちまうだろ。これ着とけ」
暖かい物の正体はエースが着ていたパーカー。
パーカーを私にかけると、手でゴシゴシと鼻水を拭いてくれるエース。拭いてくれるのは嬉しいけど少し痛かったり。
「…………エース寒くなるじゃん」
「あ?俺は平気だって。」
「でも……やっぱ悪いよ……?」
「んだよ。俺に暖めて欲しい訳?」
「なっ!ば、馬鹿じゃないのっ!?」
ニヤリと笑いながら言うもんだから恥ずかしくなってその場を去ろうとした時、腕を引っ張られた。
「***が俺専用のカイロになってくれよ」
「ちょ、は!?ええ!?」
「はー、***はあったけぇなあ!」
ぎゅーぎゅーと抱き締めてくるエースにドンドンと叩くものの、そのまま教室へと連行された。
- 君の体温は俺のもの -
朝っぱらからイチャついてんじゃねぇよ!これだからバカップルはうっとーしぃ!!
あーあったけぇ、あー幸せだー。わりぃなサッチ(ニコッ)
ちょ、離れて!エース!!(熱いのか寒いのか分かんなくなってきた…)
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